インド:オリッサ州ランジガルのアルミナ精錬所拡張についての公開書簡

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2011年12月27日
国・地域:インド
トピック:国際人権法
公開書簡

ジャヤンテ・ナタラジャン 環境森林大臣閣下

英国を本拠とする、ヴェダンタ・リソーシズ社の子会社であるヴェダンタ・アルミナム社(両社を総称し、以下ヴェダンタ社)のオリッサ州ランジガルのアルミナ精錬所を6倍に拡張する計画に関して、貴省の環境評価委員会が2011年8月27日に発表した、新しい調査事項を差し止める旨の2011年12月1日の貴省決定を、アムネスティ・インターナショナルは歓迎します。貴省は、裁判所で係争中の問題が解決するまでは、拡張の申請を検討しない旨決定されたものと、我々は理解しています。

当該精錬所の拡張計画を却下する旨の貴省決定を支持する、2011年7月19日の先の裁判所が下した命令の見直しを求め、2011年11月16日にオリッサ州高等裁判所に申し立てを行った、ヴェダンタ社の決定を考慮して上記の決定をされたものであると、2011年12月1日付け貴省の書簡を踏まえ、アムネスティは理解しています。

いかなる事情であろうとも、ヴェダンタ社は、法的な要件および貴省が発表する条件を回避することは、できないはずです。過去4年の間操業してきたランジガルの既存の精錬所はその環境的、社会的および人権面の影響に関して一般的に認められている国内的及び国際的な基準を満たしていなかった点を、アムネスティは一貫して強く主張してきました。土地や水を汚染しながら、当該精錬所を操業する事により、生活の糧として大部分を農業に依拠するマジュヒ・コンド・アディヴァシ(先住民)及びダリットなどの共同体が構成する12の近隣村落に住む人びとの諸権利は、侵害され続けています。

それゆえ、アムネスティは、貴殿にランジガル精錬所用地の即座の除染および、当該精錬所の操業が地元共同体に与える影響を監視するよう求めます。これらの措置は、国際人権法のもとでインドが負う義務にも合致しております。国内当局は、企業などの第三者によるものも含む人権侵害から管轄内の人びとを守るためにすべての必要な措置を採らなければならず、また、インド政府当局が汚染を禁止する法律を実施し、資源採取産業による水、空気及び土壌の汚染を防ぐ義務を負います。

ヴェダンタ社が所有する、赤土の池に関する懸念を提示した2011年6月24日付けの書簡に対する回答を、我々は引き続き待っています。我々が最近該当地を訪問した際、当該池はほぼ満杯の状態である事を確認しました。貴省による監視および独立した監査を実施し、2011年4月および5月に2つの破損個所が報告された、ランジガル精錬所にある28ヘクタールの赤土の池が、インドの環境保護法および国際基準を遵守した形で運営されているのか否かを確認する必要があります。2ヵ所が破損している間、深刻な不安を経験した精錬所周辺の12村落に住む人びとと、この監査結果は共有されるべきです。彼ら住民たちも、如何なる形での精錬所の拡張であったとしても、自分達の土地や水が更なる汚染に晒される事になるとの思いから、極度の不安を覚え、当該精錬所の拡張提案に対して長年反対の運動を行ってきました。

また、アムネスティの2011年7月24日の報告において、ヴェダンタ社が自社のランジガル精錬所及びその拡張計画のために実施した環境影響評価(EIA)が、インドの規制基準からどの程度乖離しているのかが示されています。これに関連して、アムネスティは精錬所の拡張計画を進める事が可能となる前に、ヴェダンタ社が個別の前提条件(今回の場合67)を満たすよう求める貴省の決定を歓迎しています。

さらに、上述した人権上の諸懸念が効果的に対処され、影響を受ける共同体との真正な協議を行い、独立性の高い透明なやり方であらためて環境及び人権影響評価が実施されない限り、当該精錬所の如何なる拡張も許可しないよう、我々は貴省に求めます。貴省は、既存の精錬所についてのこれらの懸念及び軽減対策が、当該精錬所の拡張計画提案の新規の環境および人権影響評価の一部となるよう保障すべきです。

アムネスティ・インターナショナル
企業と人権部門部長 シーマ ジョシ

アムネスティ・インターナショナル公開書簡
2011年12月20日

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