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スロバキア:裁判所、小学校の人種分離学級を認めず

2012年1月23日
国・地域:スロバキア
トピック:先住民族/少数民族
プレシェフ地方にあるスロバキア人の村、サリスケ・ミカラニ(Sarisske Michalany)の小学校は、1月初めに裁判所が下した判決に従い、ロマの子どもたちを隔離・差別する分離学級を廃止しなければならない。アムネスティ・インターナショナルとスロバキアのNGO「市民と人権のためのセンター」は、このように述べた。

2011年12月5日、プレシェフ地方裁判所はその意義ある判決の中で、「学校側が、正当な理由もなくロマの児童を別に設けた学級で指導することは差別にあたる」とする裁定を下した。この判決は、2012年1月3日に言い渡された。

「このたび、スロバキアの裁判所としては初めて、蔓延する不法な人種による分離という教育問題に取り組んだのです。人種分離は数千のロマの子どもたちの生活を脅かし、子どもたちを貧困と差別の連鎖に陥れているのです」とアムネスティのスロバキアの担当者である、バルボラ・チェルヌサコワは述べた。

「サリスケ・ミカラニの小学校のロマの児童は、分離クラスで新学期を始めることになります。しかし彼らは、そこにはそう長くはいないでしょう。ロマの子どもたちが他の子どもと同じ教室で、同等の教育を受けられるように、学校側は直ちに行動を起こさなければならないからです」と、市民と人権のためのセンターのステファン・イバンコは述べた。

何年もの間、この小学校ではロマの子どもを他の児童から切り離し、同じ建物の別の階に彼ら専用の学級を置いてきた。2008〜2009年には、それまでは多数派の他の民族の児童と同じ学級で学んでいたロマの児童はすべて分離学級に移され、状況はさらに悪化した。

2010年6月、市民と人権のためのセンターは、学校に対して訴訟を起こし、「ロマの児童に対する、民族に基づいた分離教育は不法で重大な差別であり、子どもたちが平等に教育を受ける権利を侵害する」と主張した。アムネスティも、このような差別的な分離教育は、「公平な扱いを受ける権利と差別の禁止を定める国際法に明らかに反する」とした文書を提出した。

学校側は、「社会的に恵まれない環境に育ったロマの子どもたちは別の教室で教えてこそ、他の生徒と同等の教育を提供し、教師はより個別的な指導をすることができる唯一の方法である」と主張したが、プレシェフ地裁はこれを退けた。また学校側は、ロマの児童にとって分離教育はどんな利点があるのかを示すことができず、またこれが長期ではなく一時的な措置であるという主張に納得がいく根拠を示すこともできなかった。

さらに、裁判所は欧州人権裁判所の判例を含めた国際的および地域的な人権の基準を踏まえて、この学校の分離教育は人権擁護に関する国の義務を侵害するものだと断じた。学校側は、控訴するかどうか検討中である。

「学校はあらゆる人種差別を撤廃し、民族にとらわれない包括的で平等な教育機会を提供しなければなりません。難しいことかもしれませんが、すべての生徒の権利を例外なく実現するには避けて通れないのです。判決に従って学校が校内の人権差別を撤廃する作業に取り掛かるときには、喜んでお手伝いをしたい」と市民と人権のためのセンターのステファン・イバンコは述べた。

「今回の判決は、この小学校だけの問題ではありません。様々な民族、文化、社会の子どもたちに対し、その多様さを包括した対応を取るべきであるという、スロバキアの学校全体に対して発せられた警告でもあるのです。多様な環境で包括的に教育をすることにより、現実に多様な社会での友好、寛容、思慮深さ、責任感とは何かを子どもたちは学ぶのです」

「すべての小学校は通常教育から子どもたちを不当に排除せず、生徒一人ひとりに配慮した教育を拡充していかなければなりません。国も地方政府も国内外の法的義務に沿って学校を支援していくことが必要です」

長年、アムネスティと市民と人権のためのセンターは、スロバキア政府とともに、ロマの児童への差別と分離が学校に定着することに懸念を抱いてきた。2010年10月、アムネスティは、政府が分離制度を禁止する法令を着実に執行し、分離学級の廃絶に向けて取るべき方策を勧告した。

「裁判所が一つの小学校での民族的出自による分離学級を否定したことで、スロバキア当局は何らかの行動を起こさざるをえなくなります。2011年11月、当時の政権が退き実施されるこの3月の選挙を経て新政権を担う各政党は、国の学校制度に内在する現行の組織的な差別と分離を根絶させるということを公約すべきです」とアムネスティのバルボラ・チェルヌサコワは述べた。

「真の変革は政治への純粋な思い入れがなければ実現しません。これまでのところスロバキア政府に見るべき変革の動きはほとんどありません。しかし、差別の障壁を撤廃し、ロマの子どもたちを通常教育に参加させる責任が、スロバキア政府にあるのです」


アムネスティ発表国際ニュース
2012年1月9日

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