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フランス:アルメニア人虐殺の否定を禁じる法案は、表現の自由への脅威

2012年1月27日
国・地域:フランス
トピック:国際人権法
1月23日、アルメニア人虐殺の否定を禁じる法案がフランス上院で可決された。「虐殺」と呼ばれる歴史的事件に公然と疑問を投げかける行為を犯罪と見なす同法は、表現の自由の侵害にあたる、とアムネスティ・インターナショナルは述べた。

フランス政府は2001年、「1915年のオスマン帝国によるアルメニア人の大量殺戮や強制的移動は、虐殺的行為にあたる」と、法律上で明言した。

新法は、虐殺を否定または過小評価した者を有罪とするものである。有罪となった場合、最高1年の懲役と45000ユーロの罰金の両方、またはいずれかを科される。

「この法律が施行されれば、公の議論の場における表現の自由が抑圧されるという、恐ろしい事態になりかねません。また同法は、表現の自由を守るという国際的責務にも反するものです」と、アムネスティの欧州・中央アジア局長ニコラ・ダックワースは述べた。

「フランスであろうと、トルコであろうと、私たちは自らの意見を自由に言えなくてはなりません」

トルコ政府は、「1915年の出来事は虐殺ではない」という姿勢を変えていない。同国においては、事件に対する公式見解に異議を唱える人びとは起訴されている。これは表現の自由の侵害にあたる。

欧州人権法裁判所は、表現の自由には「当たり障りのない意見のみならず、国家や人びとの気分を害するものや、怒らせるものものも含まれる」と繰り返し述べている。

国際人権法が表現の自由の制限を認めるのは、他者の権利や評判への配慮を含めた特定の目的のために、もしくは国の安全や公序を維持するために、必要かつ妥当な場合である。

今回のケースは、いずれにも当てはまらない。そして過去の大事件やその評価に対する、「非常識な」異議や矮小化によって、表現の自由の行使が「犯罪である」と捉えられてしまう、とアムネスティは考えている。

国際人権法はまた各国に対し、差別や暴力のきっかけとなる、国や民族、宗教への嫌悪感の提唱の禁止を義務づけている。

「この法案は、暴力や嫌悪を誘発する人種差別や排外的発言と闘う欧州ガイドラインを具体化するものである」とフランス当局は主張している。しかしながら、禁止の対象となる誘発表現がどのようなものであるかが法案には記されていないし、そもそも誘発行為を禁止する法律は、すでに存在している。

「同法案の真の問題は、1915年のアルメニア人の大量殺人や強制移動が虐殺であるかどうかということではなく、この議論をうけて、当局が表現の自由を削ごうとしていることなのです」とニコラ・ダックワースは述べた。

「フランス当局は、国際人権法に定められた義務に従うべきです」


アムネスティ発表国際ニュース
2012年1月24日

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