- 2012年5月29日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:シンガポール
- トピック:死刑廃止
2007年に47グラムのヘロイン所持で初犯逮捕されたヨング・ヴイ・コン。 (c)Save Vui Kong Campaign
シンガポールで麻薬取引の罪で死刑執行が差し迫っているマレーシア人青年に対し、減刑を図るべきだ。アムネスティ・インターナショナルとアジア死刑廃止ネットワーク(ADPAN)は、このように述べた。
2007年に47グラムのヘロイン所持で初犯逮捕されたヨング・ヴイ・コン(当時19歳)には、死刑以外の選択肢は残されていない。
法の下で不公平な扱いを受けたとして請求した3回目の上訴は、最終的な手続きとなるが、最高裁は4月4日、これを棄却した。
裁判所が被告人と犯行の事情を考慮することができないため、世界各国は絶対的法定刑としての死刑を廃止してきた。ヨング・ヴイ・コンは、この残虐で品位を
おとしめる刑罰を受けてはならない、とアムネスティのシンガポール調査官ランス・ラッティグは、述べた。
アムネスティとADPANは、法務省と外務省、他の閣僚メンバーに公開書簡を送り、ヨング・ヴイ・コンに対する恩赦を勧告し、また死刑を一定期間停止し、執
行を中断するよう、要請した。
内閣の助言を考慮した上での大統領恩赦が、ヨングに残された最後の望みである。
麻薬取引の首謀とされ、ヨンガのボスであるシンガポール人に対しては、その26の罪状を取り下げ起訴しない、という司法長官の決定を、ヨングの弁護士は引き
合いにだした。
「麻薬組織のボスの罪状は取り下げられ、逮捕当時まだ19歳で貧乏だったヨングは死刑にされる。本来、いかなる司法制度も、こんな状況を正当化することなど
できません」とヨングの弁護人でADPANメンバーであるM.ラビは語った。
ヘロイン15グラム以上を所持して逮捕された者には、死刑を宣告するという薬物乱用法で2008年、ヨングは死刑を言いわたされた。
本件は世界中の関心を呼んだ。マレーシアの外務大臣アニファ・アマンと議員たちは2010年、恩赦をシンガポール当局に求めた。シンガポールの大統領のみが、
内閣の助言に基づいて大統領恩赦を与えることができる。
死刑の減刑は、1965年の独立以来、6回しか行われていない。
アムネスティは、いかなる場合も無条件で死刑に反対している。
ADPANは、シンガポールを含む24カ国の弁護士、NGO、社会市民グループからなる、独立した地域ネットワークで、アジア太平洋地域の死刑廃止に向け活動をし
ている。
アムネスティ国際配信ニュース
2012年5月9日
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