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エジプト:ムバラク判決は、正義を果たしていない

2012年6月 7日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:エジプト
トピック:

エジプトのムバラク前大統領。(c)Sean Gallup/Getty Images
エジプトのムバラク前大統領。(c)Sean Gallup/Getty Images

前大統領ホスニ・ムバラクは、昨年の「1月25日革命」の際、デモ参加者を殺害した罪で終身刑の判決を受けた。これは、エジプトで長年続く法的免責との闘いに向けた、重要な一歩である。

ムバラク政権時の内務大臣ハビブ・アドリもまた、同じ罪で終身刑の判決を受けた。
しかし、6月2日、治安関係幹部を含む他の被告全員に無罪判決が下された。この判決は、多くの人びとに、「法的な正義が完全に実現するのはいつなのか」という思いを抱かせる結果となった。

「私たちは、2011年1月に始まったデモ隊殺害に加担したムバラクほか幹部らの裁判を、当初から歓迎していました。しかし、このたびの裁判と判決は、デモで殺害された人々の遺族や負傷した人々に、最愛の人にいったい何が起こったのか、その真実が闇に葬られたという思いを抱かせ、完全な正義の実現とはなりませんでした」と、アムネスティ中東・北アフリカ次長アン・ハリソンは語った。
 
 「裁判が残した不明な点を明らかにするため、エジプト政府は独立した公正な調査委員会を、今すぐ設けるべきです」

遠のいていく公正な裁き

ムバラクを退陣に追い込んだ2011年2月11日の騒乱で、約840人のデモ参加者が殺害され、6000人以上が負傷した。

ムバラクの2人の息子、ガマルとアラア、および仕事仲間のフセイン・サレムに対する汚職の起訴は、取り下げられた。

法廷で判決を聞いた人びとの多くは、他の被告人が全員、無罪判決になったことが不満で、「国民は、司法の浄化を望んでいるのだ!」と叫び始めた。

検察当局は申し立ての中で、「もっと多くの証拠を集めたかったが、総合情報部の安全保障局や内務省からほとんど協力を得ることができなかった」と述べている。

一連の裁判を通して、多くの家族は法廷に入ることを許されず、ときには警察による殴打や脅しを受けた。また、ムバラク支持派と衝突することもあった。

「当局が検察に協力しなかったため、18日間の騒乱とそれ以後で何が起きたのか、その真実を明らかにする機会を逸してしまったことは、残念です」 とアン・ハリソンは述べた。

「当局が非協力だったのは、明らかに判決に影響を与えました。しかし、もっと重要なことは、それにより法の支配が弱まり、犠牲者家族と負傷者が本来知りたい事実を知ることができないということです」

法の支配が盤石となり、その結果この先、人権侵害を許さず、何びとも法の上には立てないということを、判決は示すべきだった。
 

早急に、組織的な改革を

同時にこのたびの判決は、検察の要求に反して、これまでの重大な人権侵害は死刑以外の方法で対応可能であり、またそうしなければならないことを示した。

エジプトの刑法では、ムバラクや他の被告は最高裁判所の大審院に控訴する権利があり、そこでは法の適用と手続きについて審理されるが、提出された事実証拠についての再審理は行われない。検察もまた控訴する権利がある。

ムバラクが政権についていた30年以上の間、現在は解散した国家治安調査庁の役人はとくに、その人権侵害行為に対し免責を受けていた。治安関係幹部全員が無罪判決を受けたことで、人権を侵害した当事者が、依然として法の正義を免れるということがわかった。

昨年中、反対運動の際にデモ参加者を殺害して直ちに起訴された多くの警官が、無罪判決を受け、被害者の家族に怒りと落胆、さらに1月25日革命後も、法制度が依然として機能していないという不満を引き起こした。

このような裁判は、負傷者や殺害された人びとの家族が、正義を得るだけでなく、何が起こったのか、その真実を知る機会とするべきなのである。
 
 「今日の判決は、人権侵害が処罰されないというエジプトに染みついた文化を終わらせる観点から、必要な組織的、法的改革を早急に始める機会としてとらえるべきです」と、アン・ハリソンは述べた。

「このような改革が開始されるまで、治安関係職員らは人権侵害や悪用を犯しても罪を免れることができるのです」

アムネスティ国際配信ニュース
2012年6月7日

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