ロシア連邦:恥じるべき、モスクワのプライドイベント弾圧

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2012年6月13日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ロシア連邦
トピック:性的指向と性自認

プライドイベントの参加者は警察によって拘束され、公共の場での集会を規定し た法を犯した容疑で起訴された
プライドイベントの参加者は警察によって拘束され、公共の場での集会を規定し た法を犯した容疑で起訴された

モスクワ当局は、市内のレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー(LGBT)の活動家たちが、自由に集会し表現する権利を擁護しなければならない。ロシアの首都モスクワでのプライドイベントで十数人が拘禁されたことを受けて、アムネスティ・インターナショナルはこのように述べた。

5月27日、モスクワ市ドゥーマと市庁舎前に小規模のLGBTグループが集まり、レインボーフラッグと同性愛嫌悪の撲滅を訴えるプラカードを掲げ、デモンストレーションを行った。

しかし、参加者はただちにモスクワ警察によって拘禁され、公共の場での集会を規定した法を犯したという容疑で起訴された。

その一方、別のグループは、少なくとも1時間以上、市庁舎前でプライドイベントに抗議するために集まり、同性愛嫌悪に満ちたスローガンを叫ぶことが許されていた。警察は、プライドイベントに反対するこの集団に対して、彼らの抗議活動は無認可であると伝えたものの、LGBTの活動家に身体的攻撃を加えようとした者のみを逮捕した。

「この2つのグループに異なる対応を取ったことで、モスクワ当局が、LGBTの人びとに対する差別と同性愛嫌悪を認めたということは明らかで、許しがたいことです」と、アムネスティ・インターナショナルのヨーロッパ・中央アジアプログラム部長ジョン・ダルハウセンはこのように述べた。「集会の自由は全ての人々に保障されるべきであり、モスクワ警察は単に性的指向や性自認を理由にした人びとの恣意的拘束は止めるべきです」

プライドイベント主催者、ニコライ・アレクセィエフは、レインボーフラッグを手に道に出た途端、警察に拘束された。また、ジャーナリストのエレナ・コスティウチェンコは、レインボーフラッグを広げようとしていた際、何者かによって旗を破られそうになり、その際に手首をひねって痛めた。

活動家ユーリ・ガヴリコフは、ジャーナリストらのインタビューに応えた後、小さなレインボーフラッグを掲げようと市庁舎近くの道に一人で立っていた際、拘束された。「活動は、私たちの人権を守ることであり、さらなる人びとが我々に賛同してくれています。これらの活動が対話を始め、LGBTの権利が広く認知されるよう呼びかける基盤となります」とガヴリコフは語った

警察はLGBT権利活動家を襲ったイベント抗議者は拘束したが、何人かは後に起訴されることなく、釈放されたという。

欧州人権裁判所は2010年、自由な表現や集会の権利を擁護せず、性的指向を理由にした差別をしていると、ロシアを批判した。裁判所によると、ロシアは過去5年間に渡り、今回の日曜集会のリーダーでもあったニコライ・アレクセィエフがモスクワでのプライドを開く権利を繰り返し侵害してきた。

それにもかかわらず、モスクワ当局は同市でのプライドイベント開催に反対をし続け、ロシア国内人権法および国際人権法を侵害している。さらにロシア第2の都市であるサンクト・ペテルブルグ、その他の都市および地域では、「未成年者に向けたホモセクシュアリズム(同性の相手に性的に惹かれるまたは性的関係を持つことなど)やソドミー、女性の同性愛に関するプロパガンダ」を禁止する条例を導入した。

これを受け、LGBTグループがサンクト・ペテルブルグ市裁判所にこの法律撤廃を求めたところ、5月25日、この禁止令はロシア国家の法律に沿っているものとし、裁判所は訴えを退けた。

「サンクト・ペテルブルグと他の都市は、そのような法律を直ちに撤廃するべきです。そもそも明らかに差別的であり、同性愛嫌悪を助長するだけです」アムネスティのダルハウセン部長は述べた。

アムネスティ国際配信ニュース
2012年5月28日

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