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ベトナム:表現の自由に対する弾圧を停止せよ

2012年8月17日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ベトナム
トピック:危機にある個人

ベトナム当局は、表現の自由への弾圧を強めている。(c)AI
ベトナム当局は、表現の自由への弾圧を強めている。(c)AI

首都ハノイで平和的な抗議デモをしていた人びとが多数逮捕された事態について、アムネスティ・インターナショナルは、ベトナム政府は表現の自由や平和的な集会への弾圧をやめるべきであると表明した。

首都の警察は8月5日、平和的に反中国デモをしていた30人の市民を逮捕し拘禁した。それはベトナムが東海と呼ぶ南シナ海の領有権を主張する中国に対する抗議デモだった。

反汚職運動活動家であるレー・ヒエン・ドゥクさん(81歳)も学生やブロガーらと共に逮捕された。逮捕された人びとは地域の警察やいわゆる更生センターに拘禁されたが、現在までに全員が釈放されている。

警察は威圧手段として、平和的に抗議しようとする人びとを逮捕し短期拘束しているのであり、これはベトナムにおける表現の自由へのさらなる打撃である。この弾圧政策のもとで、ブロガー、作家、弁護士、組合活動家、宗教団体のメンバー、農業従事者、実業家、民主主義活動家達が投獄されている。

■著名なブロガーたちの拘禁

ハノイでデモ参加者が多数逮捕される数日前、反政府プロパガンダの罪に問われている3人の著名ブロガーの裁判開始が再度延期されたというニュースが報道された。

このブロガーたちは、通称ディウ・カイ(「百姓の竹パイプ」という意)として知られているグエン・バン・ハイ、「正義と真実」というブログの執筆者で元婦人警察官のタ・フォン・タン、そして、アンバスグというブログ名で知られるファン・ティン・ハイである。3人はベトナム人自由ジャーナリストクラブを創設し、人権を推進するためにブログを書いていた。

彼らはベトナム刑法第88条に触れる反政府プロパガンダをおこなったとされ、もし有罪となれば最長で懲役20年の刑に処せられる。

3人はオンラインで執筆することにより表現の自由の権利を平和的に行使していただけで拘禁された良心の囚人である。アムネスティはベトナム政府がただちに無条件で彼らを釈放するようさらに求める。

ホーチーミン市の人民裁判所は3人の裁判をもともと今年4月17日におこなう予定だったが、8月7日に延期された。

しかし、タ・フォン・タンの母親ダン・ティー・キム・リエンが先週、娘の拘禁に抗議して政府機関の建物の前で焼身自殺をはかり死亡するという悲劇があった。その件について警察が調査しているため、ブロガーたちの裁判はさらに延期になった。

三人のブロガーは裁判が開かれないまま、起訴後長期にわたって拘禁されている。ディウ・カイは2008年に税金詐欺というでっち上げの罪で投獄され、2010年に釈放されることになっていたが、刑法第88条に触れる反体制プロパガンダ容疑でそのまま引き続き拘禁されている。ファン・ターン・ハイは21カ月、タ・フォン・タンは1年近く裁判がないまま拘禁されている。家族も弁護士もめったに面会が許されない。

ブロガーたちは表現の自由の権利を行使したことで拘禁されたのであり、それは国際法のもとでは恣意的拘禁である。さらに裁判のないまま長期間の拘束については、ベトナムの刑事訴訟法でさえ、「特に重大な罪」を犯したとして起訴された者でも裁判前拘束は最長で16カ月までと定めており、21カ月にもわたるデゥー・カイとファン・ターン・ハイの拘禁はこの法律に反するのである。

■異議を唱える者に対する弾圧

表現の自由の権利は「市民的及び政治的権利に関する国際規約」の第19条によって守られており、締約国としてベトナムは憲法第69条でこの権利を認めている。

しかしベトナムの人びとがこの権利をより一層行使しようとしている一方で、警察当局は、国の政策に批判的でもっと多くの自由を提唱する人びとを妨害したり投獄したりしている。

ハノイでの平和的な抗議デモで多数の人びとが逮捕され、三人のブロガーがいまだに拘禁されていることは、ベトナムでの表現の自由がひどい状況にあることを示していると言わざるを得ない。ベトナム政府は表現の自由への弾圧をやめるべきだ。

ベトナムでは2011年には政府の方針に反対を唱える人びとのうち、少なくとも20人が反政府プロパガンダなどの容疑で裁判にかけられ、長い懲役刑を受けている。その他、同年には少なくとも18人が逮捕され同様の容疑で裁判にかけられないまま拘束されている。

今年も表現の自由の取り締まりが続き、裁判も拘禁も増えている

例えば、4月に警察はベトナム系アメリカ人の学者であるグエン・クオック・クアンをホーチーミン市のタンソンニャット空港で逮捕した。彼は海外を拠点にしたベトタン党のメンバーである。警察は彼が「デモを扇動する」計画をたてていたとしてテロの容疑で拘禁している。彼は2008年に民主化活動に関する容疑で起訴され有罪とされた経緯がある。

7月には、非合法とされているベトナム統一仏教会の僧院を警察が取り囲み、反中国デモに参加できないようにした。さらに反中国デモに参加した女性ブロガーのフィン・トゥク・ビーを拘束し尋問した。彼女は反政府罪で起訴されると脅かされたが結局釈放された。

 

■国際的背景

ベトナムは国連人権理事会の理事国になる意思を明確にしている。アジアでの中国の影響力が増しているのに対応して、ベトナムは米国及び他の国々との関係を強めている。

ベトナムへの対外援助をしている国々は、ベトナム政府に人権問題の改善を促し、米国は特にディウ・カイと他のブロガー達を釈放するよう求めている。

アムネスティはベトナムに対外援助をおこなっている国々がベトナムとの関係を築いていくにあたり人権問題を最優先させるよう呼びかけている。これらの国々は、ベトナム当局が沈黙させようとしている人びとを支援するためできる限りのことをすべきだ。

【アムネスティ日本 2012年8月17日配信】
 

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