ガンビア:世界の流れに逆行する死刑執行

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2012年9月 3日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ガンビア
トピック:死刑廃止

ガンビアで8月23日夜から24日朝にかけ、女性一人を含む9人が処刑された。さらに近日中に、より多くの人びとが処刑される可能性がある。

同国では、死刑は殺人罪と国家反逆罪に適用される。処刑された死刑囚のうち3人の罪状は、「国家反逆罪」とされている。

ガンビアではここ四半世紀以上もの間、死刑執行がなかった。しかし、今回、ヤヤ・ジャメ大統領が処刑執行の決定を下したことで、死刑廃止の流れが後退することになる。

ガンビアは、いまだに死刑を執行する少数派の国に後戻りしつつある。さらなる処刑を直ちに停止するよう、アムネスティは当局に要請する。

ガンビアにおける最後の死刑執行は、27年前の1985年。アムネスティはガンビアが事実上死刑を廃止した国であり、世界中で死刑を法律もしくは事実上廃止している3分の2の国々の一国であるとみなしてきた。

アフリカでは、アフリカ連合の54加盟国のうち、22ヵ国が事実上死刑を廃止し、16ヵ国が法律ですべての犯罪に対して死刑を廃止している。

8月19日と20日に、回教徒のイード・アル・フィトル祭を記念して放送されたテレビ演説の中で、ジャメ大統領は国民に向かって、9月半ばまでに全死刑囚を「判決に従って処刑する」と発表した。

ガンビア政府によれば、2011年12月末の時点で男女計44人の死刑囚がいる。昨年、そのうちの13人に対し死刑判決が下された。さらに今年、男性3人が新たに死刑判決を受けた。現在は、計47人の死刑囚がいる。

ジャメ大統領は、国連総会と人および人民の権利に関するアフリカ委員会(アフリカ人権委員会)の決議に従い、死刑の執行を即時に停止すべきである。

アムネスティは、あらゆる死刑に例外なく反対する。死刑は生きる権利の侵害であり、究極的に残虐で、非人道的かつ品位を傷つける刑罰である。

■背景

西アフリカでは近年、どの国も死刑を執行していない。西アフリカのトーゴでは、すべての犯罪に対して死刑を廃止しており、ブルンジ、ガボン、ルワンダもこの5年の間に死刑制度を廃止した。

この7月、ベニンは75番目の国として、死刑の廃止を目的とした「市民的および政治的権利に関する国際規約の第2選択議定書」に批准した。

ガンビアは、人および人民の権利に関するアフリカ憲章の締約国である。この地域協定の監視役であるアフリカ人権委員会は2008年、この憲章の加盟国に対し、死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止を守るよう要請している。

2011年5月、ガンビアのバンジュルで開かれたアフリカ委員会の関連作業部会で議長は、「アフリカ憲章第4条が定めているように、死刑は生きる権利を最もゆゆしく侵害している」と述べた。

国際基準では、人命を奪うに至った意図的な殺人に対してのみ死刑が科せられる。国連によれば、同基準により、国家反逆、スパイ、定義があいまいな「国家に対する犯罪」行為に対して死刑を科すことはできない。

アフリカについて言えば、アフリカ連合加盟の54ヵ国のうち、16ヵ国が法律により死刑を廃止し、22ヵ国が実質的に廃止しているので計38ヵ国で死刑を廃止しており、3分の2以上を占めている。

アムネスティ国際ニュース
2012年8月24日

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