女性性器切除の廃止運動を支持

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2012年12月13日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:女性の権利

国連総会自由権規約委員会で、女性の性器切除を禁止する議決が採択された(C) Demotix
国連総会自由権規約委員会で、女性の性器切除を禁止する議決が採択された(C) Demotix

11月26日の国連総会第3委員会で、女性の性器切除を禁止する議決が採択された。このたびの採択により、市民団体が行ってきた、この虐待的慣行の廃止運動に大きな弾みがつく。

社会、人道、人権に関わる問題に取り組む国連総会第3委員会が、女性の性器切除に関する決議を採択するのは、今回が初めてである。性器切除とは、女性の性器クリトリスを切り落とすものだ。致命的な感染を引き起こす危険がある状況で、しばしば麻酔なしに行われている。

女性の性器切除は、私たち全員を告発している。少女や若い女性が押さえつけられ、性器を切除される。これは彼女らの人権の侵害である。驚くべきことに、毎年推定300万人もの少女たちが、このような危険な目にあっている。

極めて重要なこととして、この度の決議は、女性の性器切除を人権問題の枠組みの中に位置づけ、全体を見据えた取り組みを求めている。その中でもとくに、女性の権限拡大の重要性、性的、生殖的健康の保護と増進、差別と暴力の循環の解消に力を入れている。

日常的に行われる女性の性器切除

女性の性器切除は、アフリカの28カ国、イエメン、イラク、マレーシア、インドネシア、南アメリカの一部の民族集団などで日常的に行われている。

しかし今や、この問題は世界中の関心を集めている。世界に離散するコミュニティーの女性や少女が、性器切除の危険に直面しているからだ。

アムネスティは、この国連決議が性器切除を行なっている国々に、法律の制定のみならず国家的な行動計画を策定する必要があること、およびそれらの国々が問題意識を高めるために、十分な資源の供給と第三者による監視を確実に行うことをうながすものと考える。

この決議は、もし私たちがこの慣行に終止符を打とうとするなら、男性や少年を含め影響を受けるすべての人々が何らかの形で関わらなければならないことも明らかにしている。

女性の性器切除が、ジェンダーに基づいた、また子ども固有の迫害であることを強調することは重要である。

さらに、国連で難民を扱う国連難民高等弁務官事務所が、性器切除を強要されたり、またはそれを受けそうな少女や女性が亡命を求めてきた場合、難民という地位を認定することを確立したことも特筆に値する。 性器切除を受け難民女性の保護という問題は、包括的な保護戦略の中に入れるべきであろう。

各国政府は、ただちにアクションを

この決議は、性器切除の防止、危機にある少女の保護、免罪の防止、生涯に及ぶ影響に苦しむ人びとへの支援提供などのための具体策を提案している。 アムネスティは、各国政府にこれらの提案を緊急に実施するように求める。

国連総会第3委員会が採択した性器切除決議は、12月の国連総会本会議で承認される予定だ。法的拘束力はないとはいえ、国連総会での決議は、少なからぬ道義的、政治的重みを持つ。

アムネスティ国際ニュース
2012年11月26日