アフガニスタン:冬場の難民キャンプで17人の死者。保護を怠った政府

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. アフガニスタン:冬場の難民キャンプで17人の死者。保護を怠った政府
2013年2月 5日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:アフガニスタン
トピック:難民と移民

アフガニスタンの難民キャンプの子どもたち。(C)AI
アフガニスタンの難民キャンプの子どもたち。(C)AI

1月初旬、アフガニスタンの国内難民の居住地で、少なくとも17人が、おもに寒さが原因で命を落とした。その中には、11人の子どもが含まれていた。これは、身を切る冬の期間、支援物資の迅速な供給が切実に求められていることを示している。

アムネスティが入手した情報によると、カブールやヘラート州のキャンプや居住地で、死者が出ている。これらの居住地のコミュニティの代表たちは、政府と国際援助機関に対し、「双方の支援は連携が取れておらず、不十分である」と非難している。

彼らの死は、防ぐことができた悲劇である。残念なことに、国内難民キャンプに暮らす何十万という人びとに対する冬季の支援は、適切に連携されてない。

亡くなったのは、子どもや高齢者だった。厳しい冬に最も弱い彼らを保護する必要があることは、明らかだ。冬の間、最も危機にさらされる子ども、高齢者、身障者、妊婦など医療を必要とする人びとを、優先して支援すべきである。

届かない援助物資、奪われる命

一昨年の2011年から昨年2012年にかけて、アフガニスタンの冬は一段と厳しく、100人以上が難民キャンプで命を落とした。そのほとんどが子どもたちだった。

アムネスティを含むNGOは、アフガニスタン政府および国際社会に対し、昨年起こった悲劇的な死を再び繰り返さないよう、再三呼びかけてきた。30のNGOが署名した、2012年10月19日付けの公開書簡も、その一つである。

アムネスティは、北バルフ州の都市バルフの居住地、ヘラート州西部のマスラカの居住地、そして複数のカブールの居住地からの国内難民の代表者たちと話をした。これらの居住地には、数千人の国内難民が住んでいる。

バルフ州の国内難民代表者らは、「政府や国際機関に繰り返し要求したにもかかわらず、何の援助物資も届いていない」と語った。また、同地は雪が多く、寒さも非常に厳しく、こういった寒さから身を守るためのものもなければ、十分な食糧もないという。

死亡したのは、ヘラート州で4人、カブールで13人。1月の第1、2週のことである。

これらの死は、すべての国内難民の保護、連携の強化、支援内容の改善、そして国内難民が援助を受けられない地域の特定が急務であることを意味している。

45万人を越える難民たち

紛争が数十年続いているアフガニスタンは、世界で最も国内難民が多い地域の1つだ。国連難民高等弁務官事務所によると、その数は推定で45万人と言われている。しかし、実際の人数はそれよりもかなり多い可能性が高い。

政府は、なにより必要とされている国内難民のための包括的な難民政策に現在取り組んでいる。この政策によって、国内難民が必要とする、保護と人道上の必需品が正式に認められることになる。しかし、とくに冬場の国内難民の支援や保護は、待ったなしである。これは、国際法が定められた義務である。

012年2月に、アムネスティは「戦禍を逃れて悲惨な状況に:アフガニスタンの国内難民の窮状」という報告書の中で、アフガニスタンにいる50万人の国内難民が直面している深刻な状況を公表した。

アムネスティ国際ニュース
2013年1月21日

▽報告書
「戦禍を逃れて悲惨な状況に:アフガニスタンの国内難民の窮状」(英文)

関連ニュースリリース