アフガニスタン:「家の恥さらし」と娘を公開処刑

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2013年5月 8日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:アフガニスタン
トピック:女性の権利

アフガニスタン当局はいまだにジェンダーにもとづく暴力を止められずにいる (C) SHAH MARAI/AFP/Getty Images
アフガニスタン当局はいまだにジェンダーにもとづく暴力を止められずにいる (C) SHAH MARAI/AFP/Getty Images

アフガニスタンでは、ジェンダーにもとづく驚くべき暴力問題にいまだに対応ができていないことを示す事態が、また発生した。

アフガニスタン北西部バードギース州の村で4月22日、父親が2人の子どもを持つ娘を、住民ら300人の面前で射殺した。

ハリマという名のその女性(19歳前後)は、夫の不在中に従兄弟と駆け落ちして、激しい非難を受けた。その10日後、従兄弟はハリマを親族のもとに戻していた。従兄弟の行方は不明だ。

現地では依然として女性への暴力が根強く、加害者はまず裁かれない。

父親は、タリバンと繋がりがあるとされる宗教指導者3人に娘の駆け落ちについて相談した。その後、指導者らはハリマを公開処刑すべきだとするファトゥワ(宗教的裁断)を発布し、そして実行された。

アフガニスタンの女性は、いわゆる「家名の維持」の名のもとに、家族の手による暴力にさらされている。それだけではない。伝統的、非公式の裁判システムが生み出す裁定のせいで、ひんぱんに人権を侵害されている。

このようなシステムは直ちに改めるべきであり、警察はこうした裁定内容の実行を阻止しなければならない。

公開処刑の後、父親とファトゥワを発布した宗教評議委員3人は、姿を消しているもようである。地元の警察はこの事件を捜査しているが、殺害にかかわった者はまだ1人も捕まえていないという。

当局は総力を結集して、女性に対する暴力の加害者が確実に法の裁きを受けるようにしなければならない。公的にせよ私的にせよ、女性が殺害などの野蛮な「罰」を受けるという、この上なく異常な慣習は、終わらせなければならない。

アフガン独立人権委員会は、昨年3月21日から10月21日までの間に、女性に対する暴力事件が4,000件以上あったと報告している。前年同期比で28%増である。

委員会はまた、バードギース州の警察がこのような暴力の容疑者を採用していると非難している。その中には2010年、不倫疑惑の未亡人(45歳)を石打ちの刑で殺害したタリバンの指揮官と部下20人が含まれている。このように女性の権利をあからさまに無視する行為は、司法の愚弄である。

アフガニスタンは2009年8月、女性に対する暴力撤廃法を可決した。同法は強制結婚、強かん、殴打など女性に対する暴力行為を刑事罰の対象としている。

この暴力撤廃法は非常に前向きな一歩であるが、それが適切に施行されないかぎり意味がない。今のところまだそうなっていない。

アムネスティ国際ニュース
2013年4月30日

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