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『アムネスティ・レポート2013』発表:難民と移民にとって、世界はますます危険な場所になっている

2013年5月23日
[国際事務局発表ニュース]
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世界が人権擁護のために動かない。そのため難民と移民にとって、世界はますます危険な場所になっている。アムネスティは本日、世界の人権に関する年次報告書を発表した。

紛争や弾圧から避難した多数の人びとや、自分と家族のために仕事やよりよい生活を求めて移住した人びとの権利が侵害されている。世界中の政府は、自国民や、自国内で保護やチャンスを求める人びとの権利を保護することよりも、自国の国境を守ることに、より大きな関心を示す。

さまざまな紛争において効果的な取り組みがなされていないために、世界中で貧困層が生まれている。紛争から逃れようとする人びとの権利は守られていない。正当な国境管理措置を大幅に逸脱させて出入国管理の名のもとに、人権を侵害する政府があまりにも多すぎる。

こうしたことは、紛争から逃れてくる人びとにだけ影響をおよぼすものではない。反移民政策によって、大勢の移民が強制労働や性的虐待を受けるなど人権を侵害される状況に追い込まれているが、搾取している加害者が処罰されることはない。政府が国民の支持を得ようとして、国内問題の矛先を移民・難民に向けることで、状況がますます悪化することが多い。

2012年、国際社会はさまざまな人権緊急課題に直面した。膨大な数の人びとが、安全を求めて国の内外へ避難することを余儀なくされた。朝鮮民主主義共和国をはじめ、マリ、スーダン、コンゴ民主共和国などで、人びとが安全な場所をみつけようと、家を出て逃げた。

シリアの人びとの状況が変わらないまま、さらに1年が過ぎた。シリアでは、紛争によって数百万人が国内避難民となり、ますます多くの命が失われたり、生活が破壊されたりしたが、それを除けば変化はほとんどなかった。シリア軍や政府治安部隊は、市民を無差別攻撃の標的にしたり、反政府派とみなした人びとを強制失踪させたり、恣意的に拘禁したり、拷問や超法規的な処刑をした。また武装グループは、政府よりは小規模ながら、人質をとったり、即決処刑や拷問を行ったりした。しかし世界は見ているだけだった。

人権問題は「国内問題」だという言い訳によって、シリアなどの人権緊急課題への国際社会の動きは封じられてきた。国連安全保障理事会は、世界の安全保障とリーダーシップを任されているが、政治面での統一共同行動を起こせないままだ。

行動を起こさないことの言い訳に、「国の主権の尊重」を利用してはならない。国連安全保障理事会は、生活を破壊し人びとを避難へと追い立てる人権侵害に、一貫して立ち向かわねばならない。それは、「大量殺人、拷問、飢餓はわが国の内政問題だ」という、お決まりの、非倫理的主張を拒否するということだ。

紛争や弾圧から逃れようとする人びとが国境を越えようとする時には、非常に大きな障害にぶつかるのが常だ。人びとを暴力で家から追い立てた銃や武器が国境を超えるよりも、難民が国境を超えるほうが困難であることが多い。しかし、2013年3月に国連が武器貿易条約を採択したことで、非道な行為に利用されるおそれのある武器の移転がようやく停止する希望が生まれた。

難民や避難民はもはや「見えないものは考えない」存在ではない。こうした人びとを守るのは私たち全員の責務である。通信の発達した現代世界に国境はない。そのため人権侵害を国境の内側に隠しておくことはどんどん難しくなっている。そしてまた、家を追われた無数の人びとの権利のために立ち上がることが、誰にとっても可能になっている。これはいまだかつてなかったことだ。

庇護を求めて他国にたどりつくことができた人びとと、自分と家族のためによりよい生活を求めて国を離れる移民が同じ船に、文字通りの意味でも、また比喩的にも、乗り合わせることがよくある。これらの人びとの多くが、社会の周縁で生きることを強いられている。そうした社会の法律と政策に実効性はなく、こうした人びとは、外国人嫌悪を煽り、難民や移民への暴力の危険を増大させるような大衆迎合主義的、国粋主義的な主張の標的にされている。

欧州連合の出入国管理措置は、移民や庇護希望者の生命を危険にさらしている。また、紛争や弾圧から逃れてくる人びとの安全も保障していない。移民と庇護希望者が拘禁施設に閉じ込められることは世界中で日常的に起きており、最悪の場合には金属コンテナや貨物コンテナに入れられることもある。

世界で2億1400万人という膨大な数の移民の権利が、自国でも、たどりついた国でも、守られていない。多くの移民が、強制的に、場合によっては奴隷同然の条件で働いている。政府が彼らを犯罪者のように扱い、企業が労働者の権利よりも営利を重要視するからだ。とくに搾取されたり人権を侵害されたりしやすいのは、正規の書類を持たない移民だ。

財産も地位もなく国を離れて暮らす人びとは、世界でもっとも弱い立場にある人びとだが、ひっそりと絶望的な人生を送ることを強いられる場合が多い。政府が、国籍に関係なくすべての人の権利を尊重すれば、よりよい未来が可能なのだ。人権擁護を求める世界規模の声が上がる中で、それに逆行する地域の存在は許されない。人権は、あらゆる人にある。どこにいようとも。

アムネスティ国際ニュース
2013年5月23日

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