バングラデシュ:人権活動家の逮捕は不吉な前兆

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2013年8月22日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:バングラデシュ
トピック:

アムネスティが良心の囚人と認定したアディルー・ラーマン・カーンさん(c) Ibrahim Ibrahim/Demotix
アムネスティが良心の囚人と認定したアディルー・ラーマン・カーンさん(c) Ibrahim Ibrahim/Demotix

8月初旬、バングラデシュを代表する人権擁護活動家が逮捕された。これは、表現の自由の明白な侵害である。

アムネスティ・インターナショナルは、アディルー・ラーマン・カーンさんが8月10日に逮捕状なしで逮捕されたことをうけ、彼を良心の囚人と認定した。カーンさんは、バングラデシュ治安部隊による人権侵害疑惑を平和的に抗議しただけで拘禁されている。

カーンさんの逮捕は、政府に批判的な立場を取る人びとに対する「人権に関する懸念を表明するならば、深刻な結末が待ち受けるだろう」という身も凍りつくようなメッセージだ。当局は、カーンさんを直ちに無条件で釈放しなければならない。

バングラデシュ当局は人権擁護活動家を罰するのではなく、人権侵害に対する疑惑を調査し、責任者を追及すべきである。

カーンさんはダッカを拠点にする人権団体オディカーの職員である。昨日捜査員がオディカー事務局を捜索し、コンピュータや備品などを押収した。

この数カ月のあいだオディカーは、5月5日から6日にかけて行われた反体制派ヘファジャット・イスラミ党による抗議活動に対するバングラデシュ治安部隊の対応に批判的な姿勢だった。

少なくとも44人が抗議活動中に死亡したが、そのほとんどで警察の過剰な武力行使が疑われている。また、警官2名とバングラデシュ国境警備隊員1名が抗議活動参加者によって殺害されたとも伝えられる。

8月11日に開かれた記者会見で、ダッカ首都圏合同警察モニルル・イスラム署長はカーンさんを拘禁した理由を次のように説明した。「オディカーは、5月5日のヘファジャットの攻撃における死者の写真を、意図的に載せた報告書を出版した。(中略)これは法の執行機関や政府、国家のイメージをおとしめる行為だ」

オディカーは5月の抗議活動中に61人もの死者が出たと発表したが、犠牲者の氏名は親族に危害がおよばないように公表しないとしている。その代わり、アムネスティなどの国際的な人権団体の呼びかけに呼応して、この事件に関する独立かつ公平な調査委員会を組織するよう政府に求めてきた。

当局は数十人いるといわれる死者の調査をするよりも、メッセージの発信者であるオディカーに矛先を向けたのだ。

政府のシェイク・ハシナ首相は、治安部隊の人権侵害を免責する一方で、その侵害行為に懸念を示した人びとを抑圧している。

これは明らかに表現の自由の侵害であり、バングラデシュ政府が他の国連加盟国に対する人権尊重の誓約を自ら踏みにじるものだ。

アムネスティ国際ニュース
2013年8月12日

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