ベネズエラ:ベネズエラが米州人権機関から脱退

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2013年9月25日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ベネズエラ
トピック:

ベネズエラは米州人権条約からの脱退で、個人は米州人権委員会への申し立てができなくなる.(C) Zoë Tryon
ベネズエラは米州人権条約からの脱退で、個人は米州人権委員会への申し立てができなくなる.(C) Zoë Tryon

ベネズエラは、米州機構に米州人権条約からの脱退を通告した。ベネズエラ政府はこの決定を取り消し、すべての個人に完全な保護を確約すべきである。

ベネズエラ政府のこの決定は9月10日に発効する。脱退するとベネズエラの人びとは米州人権裁判所の保護から外されてしまう。

この決定は人権侵害の犠牲者を侮辱し、ベネズエラの人びとの将来に危機をもたらす。そして何よりもこれは、国際機関に人権保護を訴求する手段を保障しているベネズエラ憲法に違反している。

政府の態度は矛盾に満ちている。一方では米州人権条約の批准を全世界的に推進し、他の国もこの制度に加わるよう促しているにも関わらず、他方では条約から脱退することで人びとの利用機会を奪おうとしている。

この米州地域の国際的人権保護システムは人権侵害に対して公正さと賠償が自国内で得られない場合、誰もが国外の組織に頼れるよう設立されている。

ベネズエラは最近、米州機構加盟国にこの地域全体の人権保護制度、とりわけ米州人権条約批准を促す決議案を支持した。ベネズエラは南米諸国連合と南米南部共同市場レベルでも同様の働きかけを支持している。

ここ数年間、米州人権システムは米州委員会と裁判所を通じて、全米大陸で数千にのぼる人権侵害の犠牲者とその家族に公正さと賠償を得る唯一の機会を与えてきた。ベネズエラの人びとから、法廷をよりどころとする選択肢を奪うことは受け入れがたい。   

人権は法の支配の要であり、国家がジェンダー、人種、民族などの基準にかかわらず、すべての人びとが尊厳を持って生きていくことを保障する必須の要素である。アムネスティはベネズエラ政府が全力を挙げて人権を保障するよう要請する。

追記
9月10日に脱退はしたがベネズエラは米州機構の一部であることに変わりなく、同機構の主要な組織である米州委員会は依然としてベネズエラが自国の人権尊重義務を遂行しているかを監視できる。従って、ベネズエラの人びとは人権侵害を受けた場合、引き続き同機構に申し立てができる。とはいえ、この決定により今後の事案を扱う米州人権裁判所の法域は制限されるだろう。  

アムネスティ国際ニュース
2013年9月6日

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