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ウガンダ:反同性愛法で悪化する人権侵害

2014年5月28日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ウガンダ
トピック:LGBTと人権

ウガンダでは反同性愛法のもとで人権侵害が急増している。(C)Guy Corbishley / Demotix
ウガンダでは反同性愛法のもとで人権侵害が急増している。(C)Guy Corbishley / Demotix

昨年12月20日にウガンダで反同性愛法が可決されて以来、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・インターセックス(LGBTI)の人びとから人権侵害の報告が次々と寄せられている。

LGBTIの人びとに対しては、すでに敵対的で差別的な状況であったが、同法採択後は恣意的な逮捕、警察の嫌がらせと恐喝、失業、立ち退き、ホームレスなどが著しく増加し、多数の人が国を逃れた。少なくとも1人のトランスジェンダーが殺害されており、これは明らかな憎悪犯罪だった。医療機関で受けられるサービスが減る一方、受診時に嫌がらせを受けたり警察に拘束されたりすることがあった。法案の成立により、LGBTIの人びとに対する人権侵害がまん延しているばかりか、被害者救済の道も閉ざされた。カンパラを拠点に活動するグループ「セクシュアル・マイノリティズ・ウガンダ(SMUG)」は、「国、特に立法機関や行政機関は総力を挙げて、LGBTIの人びとを摘発し、暴露し、蔑み、抑圧している」と報告している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチとアムネスティ・インターナショナルは今年4月、カンパラなど複数の都市で、反同性愛法で直接被害を受けた者38人、弁護士とパラリーガル計4人、およびLGBTIの人びとへの医療提供機関4団体に聞き取り調査をした。またヒューマン・ライツ・ウォッチは、今年1月から3月の間にウガンダを脱出し、ケニアのナイロビに滞在する LGBTIのウガンダ人8人に面談した。

今年2月24日、ウェリ・ムセベニ大統領が法案に署名し法律が成立、3月10日に施行された。この法律では、合意に基づく成人同士の性的行為に終身刑が科されることがある。また同法は、定義が曖昧な「同性愛の促進」を違法とし、人権推進活動を脅かす。警察が米国政府・マケレレ大学HIV共同研究・治療プログラムを強制捜査するきっかけにもなった。さらに、「同性愛行為を目的にした建物、部屋、場所等を所有する者」を有罪としている。この条項により、LGBTIの借家人を強制退去させることが、正当化できるようになった。これらの新条項は、合意に基づく男性同士の性的関係を禁止する従来の刑法をさらに厳しくしたものだ。

昨年12月以来、他の成人と合意に基づく同性間の性的行為をしたという申し立てで、ときには単にLGBTIであるらしいという疑いだけで、17人以上が逮捕されたという。対照的に2007年から2011年まででは、ウガンダの団体、人権の推進・意識フォーラムによると、同性間の性的行為を理由に逮捕されたのは23人で、いずれも起訴されなかったという。

同法の最大の悪影響は、LGBTIの大多数を排除してしまったことである。多くの人びとが国外に脱出する一方、国内でホームレスになったり身を隠したりした人もいる。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、家主から強制退去させられたLGBTIの10人に話を聞いた。家主らは、反同性愛法の下でLGBTIの人びとに部屋を貸すことが違法であると解釈しているようだった。

話を聞いた全員が隣人からの脅しや監視を逃れるため、引っ越しせざるをえなかった。タブロイド紙やテレビでLGBTIであることを暴露されて引っ越したというケースもあった。今年1月以降LGBTIの人びと100人以上が亡命した。

また、法律が成立して、LGBTIの人びとが、医療サービスを受けたり、HIVの必要な情報を得たりする機会が減った。

LGBTIの人びとへの聞き取りからは、医療従事者が患者の秘密を漏らす恐れもあるとわかった。トランスジェンダーの男性、ジェイ・Mさんは、発熱で医者を訪れた。

医師が「あなたは男性か女性か」と尋ねてきた。「どちらでもいいことですが、私はトランスジェンダーの男です」と答えると、「トランスジェンダーの男とはどういうこと? ご存じのように、ここではゲイの人を治療しません。あなたたちのような人は、社会にいられるだけでも困ります。警察を呼んであなたを訴えてもいいですよ」と言われたそうだ。

結局ジェイさんは5万ウガンダ・シリング(約21米ドル)を口止め料として支払い、診療所を飛び出した。

聞き取りをした被害者と弁護士らは、拘束された人のほとんどは起訴されずに釈放されたと話した。今回の調査のうち7件で、警察が3万から150万ウガンダ・シリング(約12から634米ドル)の賄賂を要求したという話を聞いた。他の被害者は、弁護士の支援で釈放された。3人のトランスジェンダーは、警察に身柄を拘束されたとき、胸や性器を触られる性的暴行を受けたと証言した。HIV陽性であった、あるトランスジェンダーの女性は、抗レトロウイルス治療を受けられなかったという。

LGBTIの人びとを攻撃しても罪に問われることがないことも脅威となっている。

2月に法律が成立して1週間後、「女王」と呼ばれていたトランスジェンダーのセックスワーカーが、バーで出会った男にさんざん殴られ殺された。ヒューマン・ライツ・ウォッチが話を聞いたセックスワーカーの友人3人は、自分たちがトランスジェンダー女性であるため、逮捕を恐れて警察に届けなかったと語った。

反同性愛法はさらに、LGBTIの人びとの生計を直撃している。聞き取りに応じた6人が、性的指向や性自認の疑いを根拠に仕事を解雇された、と語った。インフォーマルセクター※で小規模な事業や商売をしていた人びとは、関わることを恐れた客や商売相手から、これ以上取引をしないと告げられた。

反同性愛法可決後わずか5カ月、LGBTIの人びとは健康と生活面で深刻な打撃を受けている。

アムネスティ国際ニュース
2014年5月15日

※インフォーマルセクター:統計の数字上には表れてこない経済活動。露天商、内職に近い家内工業、家事労働、零細企業、自営業など。従事者は労働法で守られないことが多い。

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