中国:香港の移住家事労働者虐待に有罪判決

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2015年2月16日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:中国
トピック:女性の権利

インドネシアからの移住家事労働者エリウィアナ・スリスチャニンシさんは、香港で雇い主から過酷な虐待を受けていた。(C)Amnesty International
インドネシアからの移住家事労働者エリウィアナ・スリスチャニンシさんは、香港で雇い主から過酷な虐待を受けていた。(C)Amnesty International

香港の裁判所は、雇い主が移住家事労働者に加えた虐待に対して、有罪判決を下した。当局は、この判決を家事労働者数万人が広く搾取されている状況に対する警告と受け止めるべきである。

地方裁判所は、インドネシア人のエリウィアナ・スリスチャニンシさんとテュティック・レスタリ・ニンシさんに対する虐待容疑で、雇用主であった羅允彤(Law Wan-tung)被告に有罪判決を下した。 もう1人のインドネシア人女性に対する虐待と脅迫などの容疑に対しては無罪だった。

刑期は2月27日に言い渡されることになっているが、長期となる模様だ。

有罪判決は、家事労働者に対する虐待と搾取の悪循環を生む状況を放置していた政府の過ちを痛烈に非難している。

香港当局がこのような恐ろしい人権侵害に目をつぶることは、もはや許されない。 虐待を助長する法律や規則の撤廃をすぐに実行すべきだ。

被害者のエリウィアナさんは法廷で、元雇い主から8カ月にわたって受けた虐待の様子を語った。その内容は、頻繁に殴る、閉じ込める、脅す、食事を与えないといった過酷なものだった。 また、雇い主はパスポートを取り上げ、給料を払わず、休暇も与えなかったという。

香港には300,000人以上の移住家事労働者がいる。そのほぼ半数がインドネシア人であり、ほとんどが女性だ。 高賃金の甘言につられた女性が直面する現実はあまりに厳しかった。給料は支払われず、休日がなく一日中こき使われ、外出も制限され、身分証明書等の書類を取り上げられ、性的な暴行を受け、食事も満足に与えられない。

アムネスティ・インターナショナルは2013年11月、香港における移住家事労働者の虐待に関する過酷な状況を調査して報告した。その中で、数万人のインドネシア人女性が搾取と強制労働を目的に売買されている実態を明らかにした。

香港の法律では、移住家事労働者は契約終了後2週間以内に、新しい雇用主を見つけ就労ビザを取れなければ、香港を出なければならない。

この制約があるため、女性たちは虐待される状況でも留まらざるを得なくなる。もし仕事を辞めれば、2週間以内に新しい仕事を見つけることは難しく、国外に出なければならないことがわかっているからだ。多くの女性にとって、そうなれば、高額な就職あっせん料を返済したり、家族を養うことができなくなるのだ。

アムネスティ国際ニュース
2015年2月10日

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