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米国:ペンシルバニア州でも知事が死刑執行停止を表明

2015年2月20日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:米国
トピック:死刑廃止

ワシントン州知事が同州での死刑執行停止を表明してから1年後、ペンシルバニア州の新知事が同様の表明をした。1月20日に就任したトム・ウルフ知事は、死刑執行が予定されているすべてのケースで、個別に執行の延期を認めていくと宣言した。この措置は、現在作成中の死刑に関する州のタスクフォースと諮問委員会の報告が十分な議論を尽くされたものとなるまで続く。このタスクフォースは2011年の州議員決議に基づいて設置されたもので、2012年には前任の知事に対し、調査が完了するまで刑の執行を停止するよう求めていた。

2月13日、この表明とともに、最初の刑の延期が発動した。3月4日に執行が予定されていたテランス・ウィリアムズ死刑囚に対するもので、彼は18歳の誕生日から1カ月後に起こした犯罪で死刑となり、以来30年近く収監されている。知事は執行延期の理由について、同情や慈悲心からではなく、死刑制度には重大な欠陥があり、そのことはもはや一般的な認識であるためだと述べている。

さらに知事は、ペンシルバニア州は米国で5番目に死刑囚の数が多いが、実際に刑が執行されたのは連邦最高裁判所が新しい死刑法を承認した1976年以来3人だけであることにも言及した。(この3人はいずれも上訴しなかった。)同州で最後に死刑が執行されたのは16年前の1999年である。また、現行の制度についてただ1つ確かに言えることは「手続きが長く、費用が掛かり、関係者全員にとって苦痛なもの」だと示唆した。知事は上訴手続きを削減しろと言っているのではない。知事は言う。「恐ろしい誤審を避けるために、再審理という安全装置は不可欠だ」と。

米国で死刑が確定してから無罪となった150のケースのうち、6ケースがペンシルバニア州のものだ。知事は、このうち1件では新たなDNA鑑定によって無罪となるまで21年収監されていたことを指摘した。

しかし、知事の懸念はえん罪だけではない。上訴審で刑の軽減事由が見つかったり、原審の判決プロセスに不備があったりして、終身刑に減刑された死刑囚が複数いることに触れ、現行制度は「欠点だらけで、間違いを起こしやすく、完璧とは程遠い」と述べた。

また、ペンシルバニア州では、貧しい者、人種的に少数派の者が、とりわけ犠牲者が白人の場合に、死刑に相当する罪で起訴されたり死刑判決を受けやすい傾向にあると、差別も問題視した。州最高裁の「司法における人種・ジェンダー偏見に関する委員会」に所属する研究者は、フィラデルフィアで死刑判決を受けたアフリカ系アメリカ人の3人に1人は、アフリカ系でなければ違う判決を受けていたはずだと判断している。こうしたデータは「死刑に賛成・反対に関わりなく、善意の人すべての心に葛藤をもたらす」と語るウルフ知事は、こう結論づける。

「われわれが死刑制度を続けるのであれば、被告は起訴のすべての段階において適切な弁護が得られるよう、そして刑が公平かつ均等に適用され、無実の者を処刑するリスクが排除されるように、さらなる対策を講じなければならない。そうでなければ憲法の求めるものに応えることはできず、われわれが追及し続けるべき平等な司法という目標には届かない」

死刑執行を延期するというウルフ知事の決断は、死刑廃止を視野に国際的な死刑執行停止を求める国連総会の決議に沿ったものである。

背景状況

アメリカは先進国の中で死刑制度を維持している数少ない国のひとつである。しかしここ数年、州単位で死刑廃止の流れが進んでいる。

2007年
 ニュージャージー州 死刑廃止
 ニューヨーク州 最後の死刑囚に減刑(死刑法は州憲法違反であるとした裁定に基づく)
2009年
 ニューメキシコ州 死刑廃止
2011年
 イリノイ州 死刑廃止
 コロラド州知事が死刑囚1人の刑の執行を無期限に延期
 オレゴン州知事が死刑執行停止を表明
2012年
 コネチカット州 死刑廃止
2013年
 メリーランド州 死刑廃止 2014年
 ワシントン州知事が死刑執行停止を表明

【知事の発言から(抜粋)】

ニューメキシコ州知事
 「人権の観点から見て、アメリカが死刑問題で世界の後塵に甘んじるべき理由は何もない」

コロラド州知事
 「死刑制度は独断的に運用されている」
 「世界の3分の2の国が法律で、あるいは事実上、死刑を廃止している。
 なぜなら、人権侵害を懸念するからだ」

コネチカット州知事
 「(死刑廃止は)公序にとって、よりよい道と信じる」

メリーランド州知事
 すべての人の尊厳を尊重してこそ、常に前進の道が開ける」

ワシントン州知事
 「死刑が殺人の抑止力になるという信頼できる裏付けは何もない」

アムネスティ国際ニュース
2015年2月16日

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