アフガニスタン:女性人権活動家に背を向ける政府と国際社会

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2015年4月 7日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:アフガニスタン
トピック:女性の権利

アフガニスタンの女性人権活動家に対する脅迫、性暴力、殺害は激化するばかりだ。彼女たちは、こうした暴力と闘い、法律の改正など多大な社会的貢献をしてきたにもかかわらず、国はこの人たちを見捨ててきた。

アムネスティは最近発表した報告書の中で、医師、教師、弁護士、警察官、ジャーナリスト、活動家など女性や少女の権利に立ち向かう人びとが、タリバンばかりでなく軍閥や政府の役人から攻撃を受けている様子を明らかにした。

こうした人びとを守るはずの法律はあってもほとんど機能せず、国際社会の関与も惨状を改善するにはあまりに乏しい。

活動家たちは、車を爆破され、自宅に手榴弾を投げ込まれ、家族を殺され、自身も命を狙われるなどさまざまな攻撃を受けている。その多くは数々の迫害にもめげず、 加害者が罰せられることがないことをよくよく知りながらも活動を続けている。

あらゆる分野の女性人権擁護活動家が、過去14年以上にわたって勇敢に闘い、大きな成果を挙げてきた。その過程で命を引き換えにした人も多い。しかもその状況は今まで以上に悪化している。

女性の権利を強化する活動など、アフガニスタン女性への国際的な支援がかなり行われてきたことは確かだ。だがそうした支援は断片的でその場しのぎのものがあまりにも多く、支援金もほとんど底をついている。

女性への脅威の大部分はタリバンによるものだが、政府の役人や、当局の後ろ盾を得た地方の有力軍閥が、女性への脅威となるケースも多くなっている。ある女性活動家はこう語る。

「いまや暴力はあらゆる方面からきます。敵が誰か特定するのは難しい。親戚、治安当局、タリバン、政治家、誰でもありです」

暴力と向き合わない政府

全国の女性活動家50人以上とその家族に聞き取りをした結果、当局はそれらの暴力を無視したり、まともに取り合わないことが常態化していることが明らかになった。訴えがあっても調査はないがしろで、訴追や処罰はさらにまれである。多くの場合、訴えた女性はさらに危険な目にあい、事態は悪化する。

公的な職業をもつ女性も安全ではない。脅迫や暴力の対象となる女性は、人権活動家、政治家、弁護士、ジャーナリスト、教師など多岐にわたる。警察で働く女性でさえ例外ではなく、警察という職場自体、性的嫌がらせやいじめがはびこり、加害者が処罰されることはまずない。

現在東部のラグマーン州で女性問題局の局長を務めるシャー・ビビ博士は、女性の権利拡充をめざして活動を続けているが、これまで度々脅迫を受けて別の州から移ってきていた。

「毎日家を出るとき、今日は生きて帰れないかも、と思います。子どもたちも私がタリバンに襲われるのではないかと怯えています」

ビビ博士の前任者2人は、2012年、わずか6カ月の間に、白昼にそれぞれ銃撃と乗用車の爆破により殺害された。

アフガニスタンには女性を守る法的枠組みはある。その多くは女性活動家たち自身のたゆみない運動の成果だ。しかし、法律の運用はお粗末で機能せず、絵に描いた餅となっている。その上、女性や少女への暴力は、ごく日常の、当たり前のこととして受け入れられており、彼女たちが自由に仕事をし、学校で学ぶことを阻んでいる。

アムネスティは報告書でいくつもの要請を提示した。農村地域での保護が特に大事である、保護の度合いに差別があってはならない、適切な立法措置に基づく訴追が必要である、などだ。公の機関や施設での嫌がらせを許す風土に風穴をあけ、当局は女性の虐待につながる慣習にメスを入れるべきである。

国際的な支援の手を緩めてはいけない

各国も2001年以来女性の権利を支持するプロジェクトに何億ドルもつぎ込んでいるが、それでも充分の成果は上がっていない。こうしたプロジェクトは短期的な成果を求め、女性活動家たちと協議もせずに実施されるものがあまりに多いからだ。国際支援部隊の撤退完了を間近に控え、わずかな成果でさえ存続が危ぶまれている。

アフガニスタンの未来は、先が見えず、近年ではもっとも危機的な局面にあることは間違いない。いまは、各国政府が背を向けるときではない。国際社会はその関与を、手を緩めることなく強めるべきだし、アフガニスタン政府は、人権に関わる責務をないがしろにしたまま放置してはならない。

アムネスティ国際ニュース
2015年4月7日

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