東南アジア諸国は船上難民数千人の命を救え

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2015年5月18日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:難民と移民

© Christophe Archambault/AFP/Getty Images
© Christophe Archambault/AFP/Getty Images

タイとマレーシアの沿岸に漂う船に、子どもを含むおおよそ350人がすし詰めの極限状態で救助を待っているのが見つかった。ビルマ(ミャンマー)やバングラデシュからの移民や庇護希望者と見られ、おそらく数カ月間、この状態にいる模様だ。船上にいる人びとは窮状にあり、生命の危険が迫っている。東南アジアの国々は、救出と調査の体制を直ちに強化するべきである。

数日前に船員から放棄されたこの船は、食糧も水もなく、人びとは医療手当を至急必要としている。現在、タイ海軍が、船を探している。

5月13日には、マレーシアの北にあるペナン島沿岸で、およそ500人が乗った船が見つかった。数日前、マレーシア政府は、船を押し返す、難民・移民を送還するなどの懲罰的措置を取ると語り、非正規の入国を認めない姿勢を見せていた。

ビルマやバングラデシュから大勢の人を乗せた船がここ数日、タイやマレーシアの沿岸に到着している。また、インドネシア海軍は5月11日、北部アチェ州の沿岸でおよそ400人のロヒンギャと思われる人たちが乗った船に、食糧と燃料を与えた上で、沖合へ曳航した。

タイでは人身売買や密入国の取り締まりに力を入れており、仲介業者は別ルートを探す必要に迫られているようだ。国際移住機関は、タイ沿岸には合わせて8000人が船で漂流していると推定している。

ビルマとバングラデシュを逃れた人は数千人に及ぶ。ビルマでの差別や暴力に堪え兼ねて脱出したロヒンギャなどの難民や、弱い立場にある移民、人身売買の被害者などだ。いずれも国内の状況に耐えられず、避難先を求めて、必死の思いで航海に出た人たちだ。

立て続けに発生しているこの人道危機に対し、東南アジアの各国は協力して調査と救出作業を行うべきである。中途半端な対応は、数千人の命を奪うことになる。

数千人の救命が最優先であるが、この危機の根本にある問題にも対応が必要である。なぜ、数千人のロヒンギャの人たちが、船による危険な脱出を選ばなければならなかったのか。彼らが直面している深刻な状況を物語っている。

アムネスティ国際ニュース
2015年5月13日