モンゴル:歴史的決定で死刑廃止へ

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2015年12月 8日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:モンゴル
トピック:死刑廃止

モンゴル議会は12月3日、あらゆる犯罪に対し死刑を廃止することを定めた新刑法を可決した。新刑法は、来年9月に発効する。今回のモンゴルの歴史的な決定は、人権の偉大な勝利である。

モンゴルで国家機密だった死刑が最後に執行されたのは、2008年のことだった。それ以来、同国は死刑廃止に向けて真摯な取り組みを続けてきた。

2010年、ツァヒャー・エルベグドルジ大統領は、すべての死刑判決を減刑するとともに、死刑執行の停止を宣言した。2012年、モンゴルは死刑撤廃条約を批准した。

「人権の完全な尊重に向けて、モンゴルは死刑廃止を進めなければならない」。ツァヒャー・エルベグドルジ大統領は、繰り返し訴えてきた。死刑の恐怖は、犯罪の抑止にならず、また、誤審の危険性は避けがたいとも断じ、死刑を正当化する論理に誤りがあることを指摘してきた。そして、4日の歴史的な議決の日を迎えることとなった。

モンゴルは、今なお死刑を続けている国々に対し、このような悲惨で非人道的な刑罰を廃止する明確な道筋を示した。死刑の全廃を定めた新刑法が来年9月に発行すれば、この残虐、非人道的かつ品位をおとしめる刑罰を完全に廃止する国の総数は、102カ国となる。モンゴルが示した今回の政治的リーダーシップが、アジア全域に一気に広がっていくことを願う。

死刑は、世界中で過去の遺物となりつつある。今年に入って、フィジー、マダガスカル、スリナムの3カ国が、死刑を廃止している。

一方で、インドネシアは今年始め、世界が批判する中で死刑を再開した。また、パキスタンは2014年12月まで死刑執行を停止していたにもかかわらず、その停止を解除して以降、少なくとも300人を処刑した。東アジアでは中国、日本、北朝鮮、台湾の4カ国が今年、死刑を執行した。死刑を存置する少数派の国々は、国際基準に反するやり方で死刑を行っている。

アムネスティは、犯罪の性質や状況、有罪・無罪、個人の特質、執行手段などにかかわりなく、すべての死刑に例外なく反対する。

アムネスティ国際ニュース
2015年12月4日