クウェート:表現の自由を一層制限するサイバー法が発効

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2016年1月17日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:クウェート
トピック:

1月12日、クウェートで新たにサイバー犯罪法が発効した。既存の各種法律ですでに規制している人びとの表現の自由の権利をより一層制限するもので、早急に見直しの必要がある。

同法では、ネット上の発言を幅広く対象とし、特に政府、宗教指導者、外国の首脳などに対する批判は犯罪とされる。これまでもツイッターなどのソーシャルメディアでこの種の批判をしたために、すでに何人もの人びとが逮捕、起訴されてきた。

クウェートの人びとにも、権力を恐れることなく、内外の政権の批判を含め、ネットで自分の意見を発信する権利がある。

この法律では、政府や司法機関、宗教指導者や地方政府の首長などに対する批判と取れる表現を犯罪とした過去の法律のあいまいな規定が、また使われている。

サイバー犯罪法で罰せられると最高10年の刑を科される。

同法は、ネット上の明らかに犯罪とみなされる行為も定めている。例えば、ネットワークへの不正なアクセス、偽造などによるデータ改ざん、不正に得た情報の流布、違法取引などである。しかし、これらの犯罪と意見の表明を同列に扱うのは、あまりに不当である。

新法は、犯罪の定義は、具体的で明確でなければならないとする国際人権法にも抵触する。国連人権理事会のインターネットでの人権の向上・保護・享受に関する2014年決議は、国家に「インターネット上のセキュリティーの問題は、人権に対する国際的義務に即して扱うこと」を求めており、表現の自由を守ることはその一部である。しかし、新法はこれも無視している。

この法律を適用するならば、自国の人権に対する義務に適合するよう同法を改正してからである。

アムネスティは昨年12月、クウェート政府に対して、口頭、印刷、ネットを問わず、表現の自由に関する法律をすべて見直し、国際人権法と基準に沿った内容にするよう求めた。

アムネスティ国際ニュース
2016年1月11日

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