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アムネスティ・レポート2015を発表:「あなたの人権が危うい!」世界中で自由が弾圧

2016年2月24日
[国際事務局発表ニュース]
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ミャンマーやバングラデシュからのがれてきた人たち。子供や女性を含む約350人を乗せたボートは、2カ月以上にわたり、タイ、マレーシア沖を漂流した。(2015年5月19日撮影) ©Thapanee Ietsrichai
ミャンマーやバングラデシュからのがれてきた人たち。子供や女性を含む約350人を乗せたボートは、2カ月以上にわたり、タイ、マレーシア沖を漂流した。(2015年5月19日撮影) ©Thapanee Ietsrichai

  • アムネスティは、2015年から2016年にかけての年次報告書を発表した。
  • 多数の国が、国際法をないがしろにし、人の権利を保護する組織を抑圧し、仕組みを弱体化させてきた。
  • 私たちの人権ばかりでなく、それを保護する法律と制度も脅かされている。

国際的な人権保障が、崩壊の危機に瀕している。短絡的で恣意的な国益が優先され、安全保障の名の下で過酷な政策が取られた結果、市民の基本的な自由と権利があらゆるところで脅かされている。世界の人権状況の報告にあたり,アムネスティ・インターナショナルは、そう警告した。

あなたの人権が危うい。多くの国では、人権は歯牙にもかけられていない。

何百万もの人びとが、国や武装グループの攻撃や弾圧で苦しんでいる。一方で政府は、治安、法律、秩序、国の価値観にとって人権擁護は脅威でしかない、と臆面もなく言い放つ。

世界中で脅かされる人権

アムネスティは、人権を蝕む陰湿な風潮を警告している。多くの国は、私たちの権利を擁護する組織や仕組みを攻撃し、資金源を断ち、あるいは無視してきた。

人権のみならず、それを保護する法律や制度も攻撃の対象となっている。70年以上にわたる取り組みやその成果が、今、危機にある。

各国政府は、人権状況の監視から逃れるため、国連の人権機関、国際刑事裁判所、さらに欧州評議会や米州人権制度など地域にある機関や仕組みを弱体化している。

アムネスティは各国に、国際法維持と人権擁護のための仕組みを、政治的・財政的に支えるよう求めている。

全土で脅威にさらされる諸権利

アムネスティは、2015年に国内で国際法違反があった国の数を調べた。122カ国以上が拷問や虐待を行い、30カ国以上が身に危険がおよぶ可能性のある母国へ難民を送還した。少なくとも19カ国で、政府や武装グループが戦争犯罪など武力紛争法規違反を犯した。

アムネスティはまた多数の国で、活動家や弁護士など人権擁護のために活動する人びとを攻撃する動きが広がっていることに警告を発している。

彼らが社会で果たす重要な役割をかえりみず、一方的に批判の声を封じようとしている。そして市民弾圧のために、自国の法律を侵している。

治安上の脅威が拡大したことが、その一因だと考えられる。

多くの国は、治安上の脅威が拡大していることに見当違いの反応をした。市民社会、プライバシーの権利、言論の自由の権利を弾圧し、治安、法と秩序、国の価値観に反するとして、人権をおとしめようと躍起になっている。その過程で、自国の法律を侵している。

国連は力を取り戻せ

昨年、人権と難民を保護する役割を担う国連は、厄介な国々の敵意と不作為に直面した。

国連は、「戦禍から後世を守るため」「基本的人権に関する信念をあらためて確認するため」に設立された。しかしながら、課題は山積し、かつてないほどに弱体化している。

多くの国々が、大規模な残虐行為を防止し加害者の責任を問う国連の追及を妨げ、人権状況の改善提言を拒絶、あるいは冷笑した。

シリア紛争は、人権と国際法を堅持し責任を果たさせるという、国連の最も重要な責務を果せなかった結果として起こった最悪の人権問題だった。

次期国連事務総長は、今年後半に選ばれ、来年1月に就任する。そして、多くを成し遂げてきたとはいえ、活性化が絶対的に求められている国連を引き継ぐ。国連加盟国および国連安全保障理事会は、新しい発想で果敢に改革に取り組まなければならない。手始めは、新事務総長をどう選出するかだ。

次の事務総長には、人権を弱体化させるいかなる国とも闘う気概と粘り腰がある人物が求められている。国連加盟国の良識が、問われることになる。

この実現には、選挙過程が公平で透明であること、そして国連が直面する人権問題に関する候補者の考えを、加盟各国に明確に示す必要がある。

今すぐ行動を

世界は今日、多くの問題に直面している。問題を生み出し長引かせている根本には、市民を犠牲にして政治的駆け引きに走る各国政府がある。紛争が泥沼化するにつれ、武装グループの攻撃や人権侵害による民間人の犠牲が拡大した。その結果、何百万の難民が発生してきた。

ますます深刻化する難民問題も、今なら、まだ打つ手がある。市民を弾圧し権利を奪ってきた国々は、その行為を停止し、国際社会がこれまでに確立してきた私たちの権利を擁護する仕組みを守る側にまわらなければならない。人に人権は不可欠である。人権は決してお飾りではない。しかし、その人権が今、かつてない深刻な危機にある。

補足情報

アムネスティは2015年も、多くの国々での、経済的・社会的・政治的・市民的権利の重大な侵害の実態を調べ、明らかにした。

そこには、全土で人権とそれを擁護する組織を弾圧する国の姿があった。ここに一部の国の、ごく一部の例を挙げる。

  • アンゴラ:名誉棄損法と国家治安法のもとで、自分の考えを言葉にしただけで、嫌がらせを受けたり逮捕・拘禁された人びとがいた。人権侵害の事実を指摘した国連の勧告を無視した。
  • ブルンジ:治安部隊が各地で殺害を含む暴力を振るい、人権活動を弾圧した。
  • 中国:人権擁護活動家に対する弾圧が強まり、国家の治安維持を理由に各種法律を制定した。
  • エジプト:非暴力の批判者らに治安維持の名目で激しい弾圧を加え、数千人を拘束し、数百人を起訴、あるいは起訴なく長期間拘束し、数百人に死刑判決を下した。
  • ・ハンガリー:絶望的な状況にある難民数千人の入国を認めず、難民支援者らの活動を妨害した。
  • イスラエル:ガザ地区の軍事封鎖を解かなかった。そのため、住民180万人が集団的処罰に置かれた。また、2014年のガザ紛争で発生した戦争犯罪に対する、国連の調査要請に応じなかった。
  • ガンビア:拷問、強制失踪、LGBTI(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・インターセックス)の人びとの犯罪化などがあった。表現の自由、強制失踪、死刑などの問題で、国連や国内人権組織との協力を、完全拒絶した。
  • ケニア:超法規的処刑、強制失踪、対テロ作戦などで、難民に対する差別があった。また国際刑事裁判所とその捜査や司法の取り組みをおとしめようとした。
  • メキシコ:27,000人が失踪状態にあるなど深刻な人権侵害がある。拷問が日常化しており、被害者の訴えが増えているにもかかわらず、加害者が逮捕されることはほとんどなかった。国連はこの事態を批判したが、同国は激しく反発した。
  • パキスタン:ペシャワールの学校襲撃事件を受け、死刑執行の復活など著しく人権を侵害する対応に走った。また当局に、国際NGOを監視し国益に反するとみなせば閉鎖できる権限を与えた。
  • ロシア:あいまいな条文の国家安全保障・反過激派関連の法令を抑圧目的で乱用し、市民社会の動きを封じた。シリアでは、民間人を殺害したことを否定し、国連安保理の活動を妨害した。
  • サウジアラビア:改革や当局批判をする市民を容赦なく弾圧した。主導したイエメン空爆では戦争犯罪を犯し、国連主導の、紛争当事者に対する違法行為調査を妨害した。
  • スロバキア:各種の団体による長年の取り組みの甲斐もなく、ロマの人びとに対する差別は続いた。その結果、欧州委員会は同国に対しEU法違反の正式通告に踏み切った。
  • シリア:樽爆弾などによる無差別な攻撃と被拘束者への拷問などで、民間人数千人が殺害された。住宅街を長期に包囲し、飢餓に苦しむ住民への支援物資の流れを妨害した。
  • タイ:演劇の上演、フェイスブックへの投稿、落書きなどの中で政府を批判した者を、逮捕した。国際社会は、治安名目で行われる人権や反対意見の弾圧を非難したが、軍当局は無視した。
  • 英国:テロ対策を理由に市民監視を続けた。一方で、欧州人権裁判所の監視をすり抜ける対応も取った。
  • アメリカ合衆国:「世界的なテロとの闘い」の悲惨な結果であるグアンタナモ収容所が、依然として運用された。拷問や強制失踪を引き起こした関係者に対する起訴はなかった。
  • ベネズエラ:依然として、重大な人権侵害が裁かれず、人権活動家への襲撃が続いた。米州人権裁判所の管轄から離脱し、米州人権条約を激しく非難し続けた。

アムネスティ国際ニュース
2014年2月24日

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数字でみる世界の⼈権2015

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