ギリシャ:欧州は足止めされた難民46,000人に支援を

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2016年4月21日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ギリシャ
トピック:難民と移民

EUとトルコが3月に合意した協定の実施状況が衆目を集める中で、ギリシャに取り残され悲惨な状況に置かれている46,000以上の難民・移民の存在が、忘れ去られてしまう恐れがある。

アムネスティは、直近の難民調査に基づく報告書を4月18日に公表した。その中で、欧州への経路の1つ、ギリシャに接するマケドニアの国境が3月7日、完全に閉鎖されたために、ギリシャで足止めされている難民や移民の窮状を明らかにした。

この西バルカンルートが閉じられたことにより、46,000人以上が恐怖と不安いっぱいの悲惨な状況に追いやられている。その多くは女性や子どもたちで、状況は悪化の一途をたどっている。EUが、約束した難民受け入れをすぐに実行し、また収容施設の状況を改善しなければ、深刻な人道問題を自らが作り出すことになる。

EUは昨年9月、ギリシャにいる庇護希望者66,400人を受け入れる約束をしたが、実現したのは、わずか615人にすぎなかった。

ギリシャの暫定収容施設は現在31個所あるが、その多くは劣悪な環境にある。これらの施設は、EUの強力な支援で建設されたが、施設内はひどい過密状態で、プライバシーがまったくなく、暖は取れず、衛生状態も悪い。

「地面に直接寝ている。毛布は水を吸い込んでいる。風呂はもちろんない。これで病気にならないほうがおかしい」。マケドニアの国境に近いイドメニのキャンプで、妊娠9カ月のシリア人女性は嘆いた。アテネ郊外の空港施設の避難所にいたアフガニスタンからの難民は、「まったく混乱状態だ。トイレはあるがあまりに汚い。臭いがひどくて寝られない」と吐き捨てるように言った。

アテネのピレウス港の非公認キャンプには、日々3,000~5,000人が滞在している。この人たちが受けられるのは、ボランティアや人道組織、港湾当局などが提供する食糧などのわずかな支援だけである。

また、複数の施設にいた女性たちは、男たちから性的な嫌がらせを受ける恐怖を感じていた。アムネスティはまた、警察に保護されていて子どもたちとも接触した。子どもたちは、子ども用施設に移送されるまで最大15日間まで警察に留め置かれていた。

アムネスティはギリシャ政府に対して、難民制度を早急に改善し、足止めされている人たちが実質的な支援を得られるよう要請している。まずは、難民らへの組織的な情報提供や、病気ほか特別な対応を必要とする難民を特定する制度をつくらなければならない。

また、EU諸国は、ギリシャへの支援を継続し、到着する庇護希望者をギリシャが全面的に受け入れられるようにするとともに、EU自身がギリシャ経由の難民を受け入れることが、今すぐに必要である。現行のEUの緊急移住計画に基づく庇護希望者の大規模な移住実施もそのひとつだ。

アムネスティ国際ニュース
2016年4月18日

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