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イラン:政治囚に治療拒否
- 2016年7月26日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イラン
- トピック:
イランでは、不当に投獄されている政治囚らが満足な治療を受けられないために、回復不能な障がいが残るなどの健康被害を受けている。死につながりかねない場合もある。
アムネスティは7月18日に発表した報告書で、同国の司法部門、特に検察と刑務所が、政治囚に必要な治療を意図的に受けさせていない実態を明らかにした。多くの場合、囚人を脅したり、罰したり、辱めたりするため、あるいは自白や懺悔を強要するためだった。何らかの形で治療を受けられず、健康上の問題が一生残る恐れのある囚人18人のケースを検証し、この国の刑務所のおぞましい一面を裏付ける確証を得た。
囚人が治療を受ける権利は、国際法でも同国の国内法でも明記されている。治療させないのは、深刻な痛みや苦しみを与えることだ。
おぞましい虐待の数々
イランでは、検察が囚人の治療や入院を決定する権限を持っている。検察局は、医師の忠告にもかかわらず、囚人に入院や療養のための一時的釈放を認めないことが多い。
刑務所の職員が、囚人の健康に対する権利を侵害したり、拷問や虐待に加担したり、投薬を止めたり、手錠や足かせで治療を妨害することもあった。
刑務所の医師が虐待に加担することも、よくある。医師の中には、囚人の病気は「単なる想像にすぎない」と一蹴し、病状が深刻でも痛み止めや精神安定剤だけの投与ですませている者もいた。
医師や看護師が全員男性であるテヘランのエヴィン刑務所では、女性が治療を受ける上で、さらに多くの障害が立ちはだかる。イランでは、女性が男性の治療を受けるのは不適切だと考えられているため、女性の囚人が、緊急の検査や治療を受けられなかった例がいくつかあった。また、着用が厳格に決められているベールを着用していなかったために、性的な中傷や嫌がらせを受けることもある。
ハンガーストライキ
病気を抱える政治囚の多くが、治療を許可させるためには、ハンストを決行するしかないと考えた。ハンストをしても通常は相手にされないか、罰せられるが、中には、最終的に短期間の受診が許可されることもある。しかしその場合でも、少し治療を受けた後に中断され、医者の助言に反して刑務所に連れ戻されてしまう。
アムネスティは、イラン当局に対し、国際法に則って、治療の阻止を即時にやめるよう要請している。また、検察当局や治療妨害に加担した可能性がある医療関係者や役人を調査すべきである。
アムネスティ国際ニュース
2016年7月18日
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