イラン:昨年相次いだむち打ち 今年もその予兆

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2017年1月24日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イラン
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イランでは、年間数百人がむち打ちの刑を受けている。時には公衆の面前でも行われる。最近では1月初旬、警察によるオートバイの押収に関する記事を書いた記者が、押収件数が不正確だったとして有罪となり、40回のむち打ちの刑を受けた。同国では昨年も残虐な刑罰が野放図に行われてきたが、今年もその方針に変わりないことを見せつけた。

イランでは、100以上の「犯罪」にむち打ち刑が適用される。刑の対象者のほとんどが35才未満の若者だ。ラマダン中に公の場での飲食、婚外交渉、男女のパーティへの参加など些細なことで逮捕され、むち打ち刑になった。

市民的および政治的権利に関する国際規約(ICCPR)の締約国として、イランは拷問などの残虐で非人道的な取り扱いや刑罰を禁止する法的義務がある。にもかかわらず、四肢の切断や投石、むち打ちなどの体刑を実施し、宗教的倫理の名目で正当化している。

昨年4月には、「ふしだらな関係を持った」として、未婚のカップルがそれぞれ100回のむち打ち刑に処された。その1カ月後には、パーティでダンスや飲酒に興じたとして、35名が99回のむち打ち刑を科された。

またジャーナリストやブロガーは、掲載した記事の内容でむち打ち刑を受けている。

イランで人気のフェイスブックサイトが、飲酒やパーティ参加でむち打ち刑を受けた女性数名の生々しい体験談を紹介している。1人(28才)は、誕生日会に出たかどで80回のむち打ち刑を受けた。

「1回目のむちは、激しい衝撃で椅子から転げ落ちてしまった。あまりのショックに、涙も出ず、声をあげることもできなかった。女性の執行人はむちを振り下ろすたびに、私に神にゆるしを乞い、悔い改めるよう命じた。何回目かは覚えていないが、やがてただうめくだけで、痛みすら感じなくなっていた。なんとか帰宅したときには、体は激しく痛み、心はむち打ちを受けた屈辱と恐怖に打ちのめされた」

むち打ちだけではない。4才の少女を酸で失明させた男は、その報復として両目を失明させられた。

最高裁の法廷に呼ばれた法医学会の医師は、あろうことか、医学的に失明させることが可能か、可能ならどう遂行するかを問われ、「専門家」の見解を述べた。これは、医学的倫理に著しく反するものである。

またアムネスティは、少なくとも4件の四肢切断の刑が行われたことを確認している。同国は直ちにすべての体刑を廃止し、重大な欠陥がある司法制度を、国際人権法および基準に沿った内容に改めるべきである。

アムネスティ国際ニュース
2017年1月18日

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