シリア:化学兵器による攻撃に断固として行動を

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2017年4月 7日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:シリア
トピック:

© MOHAMED AL-BAKOUR/AFP/Getty Images
© MOHAMED AL-BAKOUR/AFP/Getty Images

アムネスティが収集した証言と動画などによると、シリア北部のイドリブ県ハーン・シェイフンで、戦闘機から化学兵器とみられる爆弾が投下され、70人以上が死亡し、数百人が負傷した模様だ。

アムネスティは現在開催中の国連安保理に対し、化学兵器による攻撃を禁止し、速やかに今回の攻撃の加害者を裁く決議を、直ちに採択するよう強く求めている。

安保理事国、特にロシアと中国は、これまでシリアでの戦争犯罪など重大な罪を犯した加害者側を制裁する決議に反対し、葬ってきた。人命軽視も甚だしい。

さらに、真相を究明する調査を行い、化学兵器の使用者に法の裁きを受けさせねばならない。さもなければ、シリアの政府や武装勢力を一層増長させ、シリアは最悪の事態に陥る。

問題の攻撃は、現地の4月4日朝6時半頃だった。早朝であるため、被害者の多くは就寝中に被害を受けた。化学兵器の専門家は、被害者は、神経ガスやサリンなどの有機リン化合物を浴びたのはほぼ確実であると断言した。

現地の動画

アムネスティは、化学兵器の攻撃直後に撮られた25本以上の動画の信ぴょう性を確認した。動画を見た専門家は、「神経ガス中毒の典型的な症状である瞳孔の過度の縮小が観察される」と語る。神経ガスの二次被害にあった医療関係者も、自身の症状が神経ガスによるものであることを確認している。数本の映像では、ひきつりやけいれん性の動きがない被害者もおり、複数の専門家が、「ひどい中毒症状の結果だ」としている。子どもたちなどの被害者が、震えている映像もある。

トラックの荷台には、横たわる子ども9人の遺体があった。幼い子どもたちは、裸かほとんど衣服を身に着けておらず、就寝中に被災したとみられる。遺体に外傷が見られないことも、化学物質による中毒であることを示唆する。

2013年9月、国連安保理は、シリアの化学兵器撤廃に関する決議を採択したが、それ以降でシリア最悪の化学兵器の攻撃である。

2013年9月以降、国連と化学兵器禁止機関は、シリアで政権側と反政府軍側の双方が、化学兵器を使用したことを、合同調査で確認していた。しかし、いずれの関係者も責任を問われていない。

イドリブの医療関係者への取材

アムネスティは、現地の病院に勤務する看護師に取材した。

「爆発音がいつもと違った。爆発音ではなく、「ドン」という鈍い音だったので、私も同僚もこれは不発だと思った。6時半頃爆発音がして数分後、最初の被害者が運び込まれてきた。それから搬入が途絶えることなく、9時ごろまでずっと続いた」

看護師は見慣れない症状についても語った。

「部屋の中央にいる私たちのところに、腐った食べ物のような匂いが漂ってきた。これまで、塩素ガスを浴びた被害者を受け入れたことがあったが、今回はまったく違っていた。被害者は、鼻と口から濃い黄色の、時には茶色に変色する物を嘔吐した」

化学兵器の使用は、国際人道法で厳格に禁止されており、戦争犯罪である。国際社会は、化学兵器による惨殺に強い怒りをぶつけ、シリアと世界の人びとを、この卑劣な行為から守るために、可能なあらゆる手段をとるべきである。

アムネスティ国際ニュース
2017年4月5日

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