ハンガリー:NGO法は市民社会に対する卑劣な計略

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2017年6月16日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ハンガリー
トピック:

外国から資金援助を受けるNGOに新たな報告義務を課す法律が成立した。これにより、外国から直接、間接に資金を得るNGOで、その額が24万ユーロ以上の場合、「外国資金受け取り団体」として再登録し、この呼称をすべての印刷物に貼りつけることが義務付けられる。

この法律の趣旨は、「国家の安全の保護に必要だ」というものだが、見え透いた建前に過ぎない。本音は、国に批判的なNGOに意味深なレッテルを貼らせ、その信用を揺るがし、国に恐怖心を抱かせ、活動を骨抜きにしようとするものだ。

国の論拠は、外国から資金を受けるNGOは、外国の利益のために活動する可能性があり、その資金により、国の主権と治安が脅かされうる、ということのようだ。

政府はこの法律を、マネーロンダリングや国際的なテロ対策だとして、正当化しようとしてきた。しかし、実際のところ、法律の対象となるNGOは、法の支配の促進、難民や移民など社会から疎外されている人びとの権利を保護するなど、国だけでは不足する社会的、法的サービスを提供する役割を担っている。

法律により、外国から資金を得るNGOが選びだされ、資金の流れの報告義務を背負う。報告義務に伴う事務処理負担も大きい。これまでも、NGOは、外国から得た資金の報告と公開が義務付けられてきたし、当局からの監査も随時受けてきた。2011年に採択されたNGO法ですでに、NGOの透明性と説明責任を明確にするため、資金の詳細な報告ほか、おびただしい数の要件が盛り込まれている。

新法の規定に違反した団体は、警告や罰金、最悪の場合、活動資格をはく奪される。

表現と結社の自由の権利に背くこの卑劣な計略は、見当違いも甚だしいし、同国の人権義務に違反する。ハンガリーのこの政策に対して、国内の草の根組織から欧州連合まで、あらゆるレベルで異議を唱えなければならない。

背景情報

ロシアで2012年に施行された「外国エージェント法」は、数百の信用あるNGOを見る影もない姿に変え、職員を委縮させ、無用で煩雑な行政手続きを押し付けた。

ハンガリーのNGO法は、このロシアの外国エージェント法を色濃く反映している。ロシアでは法律発効の影響はてきめんで、NGOが外国から資金を受けることは、法的にも社会的にもリスクが大きすぎるため、およそ30の団体が閉鎖に追い込まれた。

アムネスティ国際ニュース
2017年6月13日