- 2017年7月13日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:マダガスカル
- トピック:
©Evitras-Madagascar Tribune
マダガスカル政府は、国連自由権規約委員会の審査を機に、国内の人権状況の急激な悪化に歯止めをかけるため、速やかに行動を起こさなければならない。
同国では治安部隊が村々を放火したり、超法規的な処刑を行っている疑いがある。人権状況の悪化は、法の支配を露骨に無視している結果だ。すぐさま捜査が必要だ。
超法規的処刑
法執行官による超法規的処刑の疑惑は、とりわけ憂慮される。処刑の多くが、国の南部で発生している牛の窃盗事件に絡んで起こっている。
群衆による制裁への報復として、治安部隊などがこうした行為に出ていたことも、アムネスティの調査で明らかになっている。今年2月、アンサカバリーの町で警官2人が住民に殺害され、その後村々が焼け落ちるという事件があったが、火を放ったのは同僚の警官らとされている。女性1人の遺体が焼け跡から見つかった。
表現の自由
ジャーナリストや人権活動家らは長らく、当局や既得権者らから脅迫や嫌がらせを受け、活動を阻まれてきた。天然資源の開発や違法取引に反対すると、刑事告訴されることが増えている。
環境保護活動家のクロヴィス・ラザフィマララさんは、紫檀などの木材の違法な伐採・取引を強く非難していきた。昨年、反逆などねつ造された容疑で逮捕され、9カ月以上も拘束されている。
双生児に対する差別
双生児などの多胎児は、依然として差別を受けている。マナンジャリ地方では、悪運をもたらすと信じられ、親の手で遺棄されている。双生児を育てるという選択をすると、汚名を着せられ、村八分にあう。
双生児の親には、村の慣わしである村長による祝福が受けられないというケースもある。
国連自由権規約委員会の審査は、同国が直面する人権問題を見直し、腰を据えて悪化する状況を是正するまたとない機会だ。
まだ希望はある。人権状況の深刻な悪化に歯止めをかけ、状況を好転させる機会は、まだ残されている。
背景情報
自由権規約委員会第120回総会は、7月10日と11日にジュネーブで開催され、市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)上の義務を履行するための施策に関する第4回マダガスカル政府報告書を審査する。
この審査は当事国が、市民的および政治的権利を誰もが享受できるように取り組んできたことを明らかにする機会である。
自由権規約委員会は、独立した専門家の組織で、締約国の規約の履行状況を監視している。マダガスカルは、1969年に自由権規約に署名し、1971年に批准している。
アムネスティ国際ニュース
2017年7月10日
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