インド:公判前勾留で侵害される被告人の権利

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2017年7月22日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:インド
トピック:

インド全土の刑務所で、被告への法的保護措置が日常的にないがしろにされ、異常な数の被告人が公判前に勾留されている。その結果、拘禁された被告人は、公正な裁判を受ける権利を侵害されている。

アムネスティ・インド支部は、全国約500の中央・地方刑務所を対象に、勾留されている被告人の権利を守る保護措置の運用状況を調べた。約3000件の情報公開を請求し、回答を分析した。

2015年12月現在で、刑務所に収監されている人の67%、つまり3人に2人が公判前勾留だった。この状況の改善を促す最高裁判所の判決、行政指導、法改正などがあったにもかかわらず、この数年、割合は変わっていない。その結果、刑務所の過密状態は慢性化している。

刑事司法制度の制度上の問題が、状況の改善を妨げている。たとえば、被告人が法廷に立てない、被告に弁護人がつかないなどである。

2014年9月から翌年2月までの半年間にあった11万を超える事案で、被告人は、直接あるいはテレビ会議で出廷して審理を受けておらず、妥当な期間内に裁判を受ける権利が損なわれた。

また、法的支援にも明らかな不備があった。ほとんどの州で、弁護人が被告人に接見する頻度は、1月に1回もなかった。多くの州で、被告人よりも弁護人の数が少なかった。弁護人がゼロという刑務所が、5%あった。

2013年には、内務省が過密状態の改善に向けた勧告をしているが、具体的な取り組みには結びつかなかった。また回答した刑務所のうち、被告人審査時の議事録を作成していたのは、38%だけだった。

最高裁の裁判で初めて公判前勾留を受けている者の権利侵害に注目が集まってから、ほぼ30年が経過した。しかし、いまだにこの問題に有効な手を打てていないとは、なんとも嘆かわしい。

国は、公判前勾留の人数を抑える意向を発表した。この公約を直ちに実行するときである。

アムネスティ・インターナショナルは、中央と州の各政府に対し、次の勧告をした。

  1. 全国の弁護人に対する報酬の支払いを一律にすること。
  2. 誰が保釈の資格があるかを特定できる被告人データベースを設置すること。
  3. 弁護人による支援が機能しているか、監視を強化すること。
  4. 被告人の法廷移動時の警護を専門とする警官隊を設けること。

追加情報

公判前勾留にあるのは、人口に占める割合に比べて、イスラム教徒、ダリット、アーディヴァシーの人たちが多い。29%の被告人は、読み書きが満足にできない。4人に1人が、1年以上勾留されている。ほぼすべての刑務所が、過密状態にある。背景には、異常な数の被告人が収監されていることがある。全国の平均収容率は、114%に達する。

アムネスティ国際ニュース
2017年7月12日

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