ポーランド:弾圧に負けずに声を上げる人びと

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2018年6月29日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ポーランド
トピック:

ポーランドで平和的な抗議デモに対する弾圧が激しくなる中、人びとは、権利を奪われ、法の支配が脅かされていることに危機感を抱き、街頭でのデモを続けている。

これに対して当局は、デモ参加者の拘束や訴追で対抗する。デモ行為を犯罪とみなす傾向が強くなり、人びとを監視下に置く。

2016年以降、女性の権利を制限する法や、司法の独立性を骨抜きにする法に抗議して、数万人が街頭に繰り出してきた。

しかし、街頭では、常に権利としての抗議が、当局の暴力と摘発を受け、数百人が、拘束され、長期の裁判を余儀なくされている。

昨年4月、集会法が改正され、ワルシャワ中心街でのデモが禁止された。治安部隊の対応は、大げさなほどに荒々しくなった。

ワルシャワでは、昨年4月からの1年間で、36件の集会が許可されなかった。デモに対する抗議が集会法違反だとして、ワルシャワの裁判所への申し立てが、昨年1年間で632件に達した。このような申し立てが1件もなかった2016年とは、際立って対照的だ。

また政府は、集会の規制強化に加え、法執行機関の監視権限を大幅に拡大した。

一昨年の警察法の改正でその監視範囲が拡大され、警察は、捜査関連外でも監視活動ができるようになった。

裁判所はこれまでは概して、集会と表現の自由の権利を支持してきた。だが、この状況も、昨年の司法体制の見直しで、まもなく変わろうとしている。司法が政権の支配下に置かれ、その独立性が極めて弱体化する。

裁判官たちは今、政権の圧力を肌で感じている。

司法制度の見直し以降に政治への隷属を拒否した裁判官は、早速、懲戒処分などの嫌がらせを受けているという。ある裁判官は、デモ参加者を擁護する判決を下した後、懲戒処分の対象となった。アムネスティに次にように語っている。

「このような状況で職務を遂行するのは、非常に難しい。1人では、体制とは闘えない。いつ、どこの、だれから、パンチを食らうかわからない」。

平和的な抗議は市民の権利であり、権力をチェックする上で不可欠なものだ。

国は、自由を守るために街頭に出た人びとの権利を、保護しなければならない。デモの犯罪化を止め、自由な集会と表現への過度の規制を解き、あらゆる人権を守るために、司法の独立性を保障すべきである。

アムネスティ国際ニュース
2018年6月25日