ケニア:国は約束通り先住民族の強制立ち退きをやめよ

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2018年8月17日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ケニア
トピック:先住民族/少数民族

ケニア政府は、森に住む先住民族の権利を尊重すると約束したにもかかわらず、人びとは今もなお、家屋を破壊され、住み慣れた土地を追われている。8月9日の「世界の先住民の国際デー」にあたり、改めて政府に、公約を守るよう求めたい。

今年4月、ケニヤッタ大統領は、森からの先住民族を強制立退きさせる問題で、「国は、長年そこに暮らしてきた人びとの生活を妨げることはしない。その地域に住むことは、伝統的に受け継がれてきた権利であり、その営みを続けられるよう、国は多くの取り組みをしてきた」と語っていた。

ところが、政府は、エンボブットの森のセングウェル族とエルゴン山とマウ高原のオギエク族に対し、土地の使用権や環境保存を損なう政策を続けている。

セングウェル族の代表者によると、7月には、国の森林公社の関係者が、3家族の家屋を破壊し、10万ケニア・シリング(約10万円)を盗み取った。これらの家屋は、指定森林地域外にあった。セングウェル族は、強制立退きに反対しているために狙われているのではないかという恐れを抱いている。

8月初旬、特殊部隊が、牛泥棒を取り締まるため、エンボブットの森に集まった。「この集結は、今後、強制立退きが強化される前触れではないか」と、多くの人が、これまでの経緯から、そう恐れている。

7月に森林公社がセングウェル族を強制立退きさせた際に、1人が死亡し、1人が重傷を負った。これを受けて、欧州連合は、エンボブットの森の気候変動緩和対策向け財政支援を止めた。

アムネスティの調査で、一連の強制退去は、強引に行われ、一部では殺傷する武器も使われたことがわかっている。また、セングウェル族の強制退去政策の決定には、手続き上、重大な問題があった。

昨年、人および人民の権利に関するアフリカ裁判所(アフリカ人権裁判所)は、国が、マウの森にある先祖伝来の土地からオギエク人を立ち退かせたのは、人権侵害だという判断を下していた。

アムネスティ国際ニュース
2018年8月9日

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