今こそ殺人ロボットの全面禁止を

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2018年8月31日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:武器貿易条約

技術開発の進展とともに自律型致死兵器システム(いわゆる「殺人ロボット」)の利用が現実味を帯びてきた。アムネスティは、人権と人道の両面で深刻な問題をはらむ完全自律型兵器の開発・導入・使用の全面的禁止を求めている。

8月27日から31日までジュネーブで、自律型致死兵器システムに関する政府専門家会議が開催されている。非人道的兵器を規制する「特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)」の枠組みで行われているもので、4回目となる今回は、完全自律型兵器システムがもたらす人権、人道、倫理、安全面での問題にどう対応するかが、協議される。

殺人ロボットはSFから現実の世界に

AI搭載のドローンから自ら攻撃目標を定める自律型銃まで、武器をめぐる技術進歩は、国際法のはるか先を行く。武器を使用する上で意思決定をする人間が介さない時代が、そこまで来ている。この流れを変えるのは、今しかない。

大国間の武器開発競争の結果、自律型兵器が世界中に拡散するおそれがある。このような、暗黒のシナリオが現実に起きないようにする唯一の方策は、自律型兵器の全面禁止である。ジュネーブの会議では、差し迫る危険性を未然に排除するために、意欲的で強力な議論と決議が求められる。

この4月の政府専門家会議では、大多数の国がシステムや武器の使用に人間の判断が介在することの重要性を認め、新たな国際法の制定に賛成した。オーストリアやブラジル、エジプトなど26カ国が全面禁止を求め、中国はCCWの新たな付属議定書による禁止を提案した。

しかし、すでに兵器開発を進めているとされるイスラエル、英国、韓国、フランス、米国、ロシアなどは、法的な禁止に反対した。

アムネスティは、攻撃目標の特定や選別、対応の判断など重大な意思決定には、人が介在するよう法的に定めることを求めている。そうでなければ機械に生殺与奪を与えることになり、国際法違反や倫理的に問題のある事態を招くだろう。また、そうした事態の責任の所在が特定できない状況も生み出しかねない。

自律型の武器が治安を担当する警察などにも導入される可能性については、これまであまり議論されていない。しかし、電気ショックを与えるダート(飛び具)や催涙スプレーを搭載したドローンは、すでに存在する。

人の介入・操作を必要としない自律型武器が治安活動に使用されると、国際人権法に反する違法な殺傷が起きる可能性がある。アムネスティは、市民生活の場でも、戦場でも、これらの武器の使用が拡大しないように具体的な措置を講じることを求めている。

背景情報

どれだけ技術が進歩したとしても、完全自律型兵器が、個々の状況判断、武器使用の必要性やその度合いを判断するなどの能力を習得することは、ほとんどありえない。しかし、国際法は、これらの能力に基づく適切な判断を求めている。

各国は、法的な拘束に関する合意をめざして、11月のCCW締約国会合にも参集する。

アムネスティ国際ニュース
2018年8月27日