ナイジャーデルタ:石油採掘がもたらす環境破壊と暴力
石油産出によって脅かされる、人びとの生活
ナイジャーデルタ(ニジェールデルタ)は、世界有数の湿地帯で、貴重な沿岸海洋生態系で知られています。
一方、石油採掘にともなう原油流出や廃棄物、そして燃え上がる随伴ガス(随伴ガスは原油から分離され、ナイジェリアではそのまま廃棄物として燃やされます)は、ナイジャーデルタによくある光景となっています。こうした公害は、何十年にもわたってこの地域に影響を及ぼし、土壌、水、大気に深刻な影響を与えています。数十万もの人びとが影響を受け、とりわけもっとも貧しく、漁業や農業など伝統的な暮らしに依存している人びとが苦しんでいます。人権への影響は深刻であるにもかかわらず、問題はあまり報道されず、ナイジェリア政府や石油会社が配慮することはほとんどありません。そして、情報不足により問題は悪化する一方です。
ナイジャーデルタの住民は、石油産出によって自らの生活にどれほどの影響があるのか、基本的な情報を手に入れることすらできません。
ナイジャーデルタにおける石油採掘で、多国籍企業は大きな責任を負っています。例えばシェル石油は、同社の操業地域だけで3万1000平方キロ以上にもなります(東京都の面積の約14倍)。
ナイジャーデルタに住む、人びとの声
ナイジャーデルタでの原油流出事故
2008年8月28日、トランス・ナイジャー・パイプラインで爆発したパイプによって、オゴニ族の人びとが住むオゴニランドのボドの入り江に、大量の原油が流れ込みました。原油流入は2カ月以上も続き、漁が暮らしの糧であった地元住民に大きな影響を与えました。
原油流入に責任を負っていたのはシェル社です。シェル社がナイジェリア石油産業規制に従って流出をくい止めなかった理由は明らかではありません。
漁ができなくなった住民は深刻な食糧難に直面しました。しかし、報道によると、シェル社が地元住民のために食料支援を申し出たのは2009年5月、原油流出が始まってから8カ月もたってからでした。その支援も十分なものではなかったため、住民はシェルの申し出を拒否しました。
国連開発計画(UNDP)は1976年から2001年までで、ナイジャーデルタでの原油流出は6,800回以上にのぼると報告しています。
シェル社の回答
アムネスティはシェル社に対し、ナイジャーデルタにおける改善策を求めるアクションを続けてきました。そして、このアクションに参加した一人ひとりに、シェルからの返事が直接届きました。
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