イラク:誘拐・殺害が激増 野放しの武装市民を止めて!

イラクではここ数カ月の間に、シーア派の民兵(民間の兵士)による、スンニ派の一般市民を標的とした誘拐や殺害が激増しています。誘拐後、多くの被害者は同じ方法で処刑されています。ところが、こうした残虐行為がまったく調査されることなく、野放し状態になっています。

イラク政府はシーア派の民兵を支援しており、こうした人権侵害に対して重大な責任を負っています。2014年9月に発足したアバディ新政権に対し、このような残虐行為について徹底した調査を実施し、民兵を武装解除するよう要請してください。


 

身代金を払った後で処刑

アムネスティは2014年8月から9月にイラクに調査団を送り、犠牲者の遺族、目撃者、医療関係者、政府関係者、NGO、イラク国家人権委員会などさまざまな立場の人に聞き取りを行いました。

犠牲者は、自宅や職場、検問所などで誘拐されました。発見された何十という遺体には、手を後ろで縛られ後頭部から銃弾を撃ち込まれた痕があることから、民兵が処刑スタイルで殺していることがわかっています。

中には、家族が身代金を払った後で殺害されたケースも少なくありません。ある遺族は、アムネスティ調査団にこう語りました。

「息子の命を救うために、何とか知り合いに頼み込んで借金しました。でも連中は、身代金を払った後で息子を殺しました……借金を返す当てすらありません。息子が一家で唯一の働き手だったのですから」

さらに、誘拐から数か月経過した現在も行方が分からない市民が、かなりの数にのぼっています。

戦争犯罪に目をつぶる政府

シーア派民兵によるスンニ派市民を狙った誘拐・殺害は、6月以降、自らを「イスラム国」と称するスンニ派の一部勢力が台頭しイラク政府が北部の大部分の支配を失った6月以降から激増しました。

「イスラム国」は、支配下においたイラク北部における人権侵害に加え、シーア派住民が多い地域を爆撃し、礼拝所を含めてシーア派住民を意図的に、また無差別に殺害するという人権侵害を繰り返しています。

一方のシーア派民兵は、地域の無法地帯化が進むなか、スンニ派の市民、特に男性を誘拐し殺害しています。「イスラム国」からの攻撃に対する報復措置と考えられています。現在のイラク情勢下で、こうした市民の誘拐・殺害は戦争犯罪に相当しますが、イラク政府軍が市民を保護しようとせず、民兵はかつてないほど市民を殺害し、不処罰がまかり通っているのです。

誘拐・殺人の直接の加害者はシーア派民兵ですが、民兵を武装させ支援しているのはイラク政府です。イラク政府の責任は、決して無視することはできません。イラク政府は、宗派に関わらず、すべてのイラク市民を保護し、公正な裁判を保障する義務があります。

★ 最新の報告書(2014年4月):裁かれない拉致・殺人無法状態の民兵 容認するイラク政府

アクションに参加しよう!

2014年9月に発足したアバディ新政権に対し、民兵組織を制御し戦争犯罪に対する徹底した調査を要請してください。※下記のアドレスに、あなたの名前で要請メールを配信します。

アクション期間 このアクションは終了しました。(2014年10月30日~2015年1月7日)
要請先 ハイダル・アバディ首相(イラク)