人間らしく生きたいキャンペーン:スロバキア・ロマの子どもたち 分離教育はもういらない!

スロバキア・ロマの子どもたち 分離教育はもういらない!

スロバキアでは、ロマの子どもたちが十分な教育を受けることができていません。ロマを差別する風潮が教育制度にも根付いており、何千人ものロマの子どもたちが、軽度の知的障がい児のための特別学校・学級や、人種に基づいて分離された学級に入れられています。そこでは、一般的に低い水準の教育しか受けられません。

ロマはスロバキアの全人口の10パーセント以下を占めていると推計されていますが、2009年の統計では特別学校の生徒の60パーセント近くがロマの人びとでした。ロマの人びとの人口率が高い地域では、特別学校の生徒4人のうち3人がロマの子どもたちでした。また、国中の普通学校における特別学級の85パーセントがロマの子どもたちです。

分離の原因はさまざまです。長く、そして深く根付いた反ロマの感情によって、保護者や教育関係者がロマとロマ以外の子どもたちを分離したがる傾向があります。

多くのロマの人たちにとって、スロバキア語は母語ではありません。そのためクラスの中で言葉のサポートが必要です。しかし、学校側がそういったサポートをやりたがらず、子どもたちは学校の特別学級や特別学校に移されてしまいます。いったん特別学級や特別学校に入れられると、普通学校の水準の教育を受ける機会は奪われ、低い評価の卒業証明書しかもらえません。

分離教育は、すべての子どもたちが持っている可能性を制限し、ロマの子どもたちに一生の烙印を押すことになるのです。

ddc_content_ip_roma_up20101001_2.jpg授業を受けるロマの子どもたち

アムネスティは2007年11月から「まだ分離されている、まだ不平等 (Still separate, Still unequal)」と題し、スロバキアのロマの子どもたちの分離教育を止めさせるためにキャンペーンを開始しました。

2010年8月、スロバキアの新政権は、分離教育を撤廃すると公約しました。アムネスティは、この公約を歓迎します。そして、公約を早期に実現するために、具体的な政府の行動を求めています。

学校を「守る」ため、ロマの子どもたちに障がい者のレッテルを貼る教育者

ddc_content_ip_roma_up20101001_3.jpg「軽度の知的障がい児」のための特別学級で学習するロマの子どもたち。2010年4月 クリバニー村

東スロバキアのクリバニー村にある小学校。そこには190人の子どもたちが通っています。その中の41人はロマの子どもたちで、うち39人は、特別学級に通っています。

校長先生は言います。

「かつては、『黒人』(ロマのことをこう表現しています)は『白人』(ロマ以外の人たち)と一緒に教育されていました。しかしロマの生徒の数が増えるにつれて、『白人』の両親は、彼らの子どもたちを他の学校に転校させたのです。国からの援助は、生徒の人数に基づいて決定されるので、学校は収入を失ってしまいました。私たちは学校を守りたかったから、特別学級を設立すると決めたのです。」

8歳のロマの少女ヴァレリアはこの小学校で2年生の特別学級に通っています。幼稚園を卒園後、ヴァレリアは特別学級に他のロマの子どもたちと一緒に入れられました。保護者である祖母は字を読むことができません。学校側は内容を祖母に教えないまま、孫を特別学級に入れる書類にサインをさせました。

「学校は何も私に言いませんでした。何の説明もないまま、彼らはただ孫娘を特別学級に入れたのです。」

やはり息子を特別学級に通わせているイレナは言います。

「精神分析医は、私の息子を普通学級に通わせることができると診断しました。でも、息子はまだ特別学級にいます。学校側は、特別学級はロマのために、普通学級はロマ以外のためにと考えています。学校は、ただ、ロマとロマ以外の子どもたちを分けたいだけなんです」

「学校は僕を笑いものにしたんだ」 ヤクブの事例

16歳のヤクブは、ブラティスラバから北へ20キロほど離れたプラヴェツキ・ストヴルトク村のはずれのロマの居住地で家族と一緒に暮らしています。彼の物語は、劣悪な教育の中に置かれているスロバキアの何千人ものロマの子どもたちと同じです。

ヤクブは4年生まで普通学級にいました。彼はその成績の良さから奨学金を受け取る優秀な生徒でした。しかし彼が5年生になった時、先生と意見が対立すると、ヤクブは能力評価を受けさせられました。彼の両親はその検査について何も知らされないまま、彼は直ちに特別学級へ移されました。

ヤクブの以前の教師のうちの一人がアムネスティ・インターナショナルに語りました。

「私の見る限り、子どもたちの中には誤って入れられる子もいる。例えば、ヤクブは多動性を理由に、軽い精神障がいとされてきた。能力評価センターでは、子どもたちは軽い知的障がいを持っているとして分けられた。ヤクブは普通学級にいるべきだったのに。彼は天才だった」

小学校を終えた今、ヤクブは言います。

「学校が僕にしたことは本当にひどかった。学校は僕を笑いものにしたんだ。僕は毎月100クラウンの奨学金をもらっていた。僕は4年生の時、一番優秀な生徒の一人だった。もし時間をあの頃に戻せたら。でも今となっては遅すぎる」

アムネスティ・インターナショナルがヤクブの弟に会った時、彼もまた特別学級の9学年を終えようとしていました。この二人の少年の事例は特別なものではありません。プラヴェツキ・ストヴルトクにおける小学校のロマの児童の約半数が、事実上、ロマの子どもしかいない特別学級で教育を受けています。特別学級に参加しているロマの子どもたちは一日のほとんどを普通学級と分けられた廊下や教室の中に閉じ込められ、ロマ以外の子どもたちとの交流の機会を奪われています。

アクション期間 2010年10月6日~2012年10月22日
送信先 スロバキア首相 premierka@vlada.gov.sk
キャンペーン 人間らしく生きたい