2016年10月31日(月)、大阪入国管理局へアムネスティ会員・国内人権ネット会員16名で参観しました。大阪入管参観は2012年に続いて2回目になります。引率責任者の国内人権ネット津田が報告します。

施設見学

大阪入管は6,7,8階が収容区域になっています。収容区域は金属探知機が使われるなど厳重な警備になっています。
まず面会室を見学し、一般面会室のほかに弁護士面会室、領事面会室があると伺いました。次に、医務室では、心電計、エコー(超音波診断装置)が設置してありました。

一部の居住区域が空いていたため、内部の見学もできました。6人部屋は2段ベッドが3つ入っており、隅にトイレが設置されていました。テーブルには電気ポットがあり、部屋にテレビもありました。各部屋のテレビは地上デジタルのチャンネルのみで、消灯時間まで観ることができます。部屋割りに関しては、宗教的な理由で行うことはないそうです。

午前中2時間と午後3時間は、解放処遇といい、居室から出て、共用スペース(シャワー室、洗濯室、運動場など)に自由に出ることができます。共有スペースでは、電話機や自動販売機も置かれており、この空間を見渡せるように「見張り室」が接していました。屋上の「運動場」は午前と午後で男女別に分けて使用しているそうです。

事前質問への回答と質疑応答

あらかじめ提出していた事前質問への回答と若干の質疑応答がありました。事前質問への回答では、被収容者数は10月31日0時現在で82人(男67人、女15人)。平均収容日数は51.6日で、最長収容日数がなんと1,052日でした。

医師への受診数は169件(外部診療数49件)でした。戒具使用数は2件で、その理由は「自己または他人に危害を加え、防止方法がない」で「逃走のおそれがあり、防止方法がない」は0件でした。一方で、上記の外部診療を受ける場合には「逃走の恐れがあるために」原則的に戒具(手錠・腰縄)を使用しているのですが、何件使ったかは統計をとっていないそうです。

「戒具を装着している被収容者の診察を医師が拒否したことはありますか。」との質問に「事前に当方の事情を説明して、(診察を断られることもあるが)手錠をしていても診察してもらえることを確認して行っているので、現場で断られることはない。」との回答でした。診察中にも手錠をかけることを事前に先方医療機関に説明して、了解を貰っていることが分かりました。

「戒具現物の公開をしてもらえないか。」との要望に、「事前に了解をとっていないので、今回はできない。事前に要望を出してもらえれば、検討する。」との回答があったので、次回入管参観時には要望を出したいと思います。

当日の質問として、「再入国許可の判断はどこでするのか。」との問いに「平成24年から見なし再入国制度ができたので、多くの人が空港の入管で出国審査を受けてそのまま出国するようになっている。再入国許可の判断はここでもしているが、再入国不許可処分はかなり減っている。在留資格認定証明書交付申請があるが、入管法7条の上陸条件に適合していなければ不交付になることもある。その場合には、内部的な行政不服申し立て制度の枠外なので、行政訴訟をするしかない。」との回答がありました。行政不服申し立て制度の枠外に置かれているようです。

その他、参加者の一人から、医師の診察をしていないのに市販の薬を職員からもらっていると聞いている点について、確認がありました。一般の家のように風邪を引いたかと思ったら薬を飲んだりするため、医師の診断なく好意であげているというような回答でした。被収容者への対応として、適切か否かは検討する必要があると考えられます。

開かれた被収容施設の一環として、今後とも参観を受け入れていただけることで、市民への理解も深まります。参観を受け入れていただいた大阪入管の皆さま、ありがとうございました。参観に参加された皆さま、おつかれさまでした。

 

開催日 2016年10月31日(月)
場所 大阪入国管理局
主催 アムネスティ日本 国内人権ネットワーク

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