2018年6月11日、愛知県春日井市にある児童自立支援施設「愛知学園」を18名で参観しました。国内人権ネットワークの石原・小谷が報告します。

まずはじめに施設内を見学した後、会議室で愛知学園の園長から、児童自立支援施設と「愛知学園」について、2002年の愛知学園事件について、などのお話を伺いました。

児童自立支援施設とは

児童自立支援施設とは、児童養護施設、乳児院等と同じような児童福祉施設で、地域で上手く生活を送ることが出来ない子どもを親の変わりに預かり育てる施設です。全国に58カ所あり、国立、県立、市立、私立(社会福祉法人)の施設などがあります。運営方法や内容は、地域や施設ごとに異なります。

児童自立支援施設は本人と保護者の同意がなければ入所はできません。施設に塀がある訳でもなく、外からの施錠もありません。逃げようと思えば逃げる事ができる環境で、無理に収容しても続きません。このような事情から、全国的に入所児童数は減少傾向にあります。

「愛知学園について」

「愛知学園」は県立の施設で、対象年齢は小学4年から中学3年まで、入所期間は1年~1年半で延長が可能です。入所児童の内訳は、児童相談所からの入所が9割、家裁からは1割で、少年院退院後に愛知学園に入所する少年も年に1人くらいいるそうです。病気の時は、非常勤の校医による治療が可能で、必要に応じて職員と一緒に近隣の病院へ行くそうです。

重度の精神疾患や重い知的障がいを抱えている子どもは受け入れができず、また、身寄りのない子どもは入所前に後見人がついて、財産を守ります。

施設では決まった時間の食事、毎日の入浴、暖かい布団で眠るといった、当たり前の安心安全な暮らしを保障する事で、子どもたちの自己肯定感を高めていくそうです。職員は打算や力関係ではなく、子どもと信頼関係を築くことに努めており、子ども同士の小競り合いがあれば職員が介入し、お互いに納得するまで話し合う。子どもが退所しても半年はサポートし、連絡がくれば話しを聞き、出向く事もあるそうです。

愛知学園の職員のほとんどは愛知県の職員で、3年程度で人事異動があります。愛知学園が直接雇用した職員の人も8~9名います。あとボランティアも数名います。

3カ月に一度、学校の教員、職員、保護者、地元の学校教員、本人の5者懇談を開いています。保護者には最低月に一度の面会をお願いしているものの、面会に来る人はほとんどいないそうで、3カ月に一度の懇談を設けているそうです。手紙は、保護者からの手紙のみ本人に渡しているとのことでした。

現在、17人が入所していて、食事で宗教的配慮の必要な人、LGBTの人は入所していないそうです。

出所後について

出所後に家に帰れない子どもは、高校に入学してから児童養護施設、グループホーム、心理治療施設等に行くとのことです。また、施設で生活できても、現実社会に出ると溝があまりに大きすぎてなかなか馴染めない子どももいるそうです。就労支援はとても難しく、できていないとのことでした。

2002年の愛知学園事件について

2002年「愛知学園」の職員が少年4人に絞殺される事件が起こりました。当時、「愛知学園」では100人いた児童が20人にまで減少。県からは多くの予算を投入しているのにもかかわらず、子どもたちの数が減少している事に不満の声が上がっていました。 そこで入所期間を当初の1年から3~5カ月間とする「お試し入所」を設けたところ、入所者の数は上がったものの、職員と子どもたちとの信頼関係がくずれ、事件につながったのでは、とのことでした。この事件で「お試し入所」制度は廃止され、当時は夜だけ当直にあたる職員がいたのを、早出、遅勤、夜勤の通いの勤務体制に変更したそうです。

最後に

参観した人からは「知らないことが多くてとても、有意義だった」というご意見を多くいただきました。また、「入所者が服を自由に選べないのはおかしい」、「職員が3年くらいで異動するのは短かすぎる」、「国立や社団法人など『愛知学園』と異なる運営をしている児童自立支援施設も参観したい」「乳児院や児童養護施設も参観したい」といった感想やリクエストをいただきました。

参観を受け入れてくださり、丁寧に施設内を案内、ご説明くださった愛知学園の職員のみなさま、本当にありがとうございました。

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実施日 2018年6月11日(月)
場所 児童自立支援施設「愛知学園」
主催 アムネスティ日本 国内人権ネット

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