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イベント報告【イベント報告】児童自立支援施設「京都府立淇陽学校」を参観しました

2019年1月31日、京都府南丹市にある児童自立支援施設「京都府立淇陽学校」を参観しました。

まず本館にて、府立淇陽学校長から、児童自立支援施設の概要、府立淇陽学校の歴史・概要・支援の特徴などの説明がありました。その後、入所している子供たちが授業を受けている教室棟の様子を本館から遠目にみて見学。さらにそのあと学校内の施設(寮など)を見学。最後に質疑応答がありました。

以下では、見学時の概要説明や質疑応答で得られた情報をまとめて整理して報告します。

京都府立府立淇陽学校の歴史と概要、その特徴など

  • 全国で58カ所ある児童自立支援施設(公立56/私立2)のうちの1つで、大正2年に現在の園部町に設立(初代校長は当時の郡視学だった田中藤左衛門)。
  • 当初は定員36名、その後徐々に増加して、戦後には最大160名ほどの定員だったこともある。現在は定員55名(寮舎は4つ)。戦後の定員増加の背景には、舞鶴港への引き上げ者が影響していたと推測される。
  • 地域の後援会として、昭和35年発会の「あすなろ会」があり、さまざまな面で学校運営の支援をしている(平成30年現在、約200名の会員による会費で運営されているそう)。
  • 平成27年に公教育の導入がなされ、淇陽学校のなかに「南丹市立桜が丘中学校」と「南丹市立園部小学校分教室」が開設された(それまでは施設職員が学科指導をしていた)。
  • 「小舎夫婦制」=寮に夫婦が住み込み、入所児童とともに生活するなかで指導を行う方法による生活支援を行っている(この方法は、全国の児童自立支援施設のうちの16カ所が現時点で採用しているが、近年は減少傾向にある処遇方法とのこと)。
  • 寮は4つあり、内訳は「中学校男子」が2つ(各15名定員)、「中学校女子」が1つ(15名定員)、「中学卒業以上と小学校」が1つ(10名定員)。寮の部屋は個室ではなく複数人部屋。
  • 作業支援として、週に2日の農作業(季節に応じて、田植えや茶摘み、稲刈りなど)や草刈りなどを実施している。
  • 日課として、授業後にはクラブ活動があり、野球や卓球バレーボールなど児童は一生懸命に取り組んでいるそう。大会もあり、それに向けた練習もするとのこと。
  • 学校の文化祭もあり、児童は太鼓演奏など。さらに校内駅伝大会や水泳大会なども行事としておこなっているそう。

その他、人権にとくに関わると思われる事柄

  • 入所児童の医療については、地域の医療機関で嘱託医を定めているほか、受診時は職員付添にて外部の医療機関への受診がなされている。
  • 通信や面会については、一定の制限がある。面会は原則許可制で、面会者も両親などが基本(原則月に1回まで/進路相談など特別な理由がある場合はその限りではない)。スマートフォンや携帯電話は禁止。ゲーム機も禁止。手紙は開封時に職員立ち合い。
  • 外出については、単独では不可。月に1回寮ごとに買い物や娯楽などに外出する。
  • なんらかのトラブルを生じた入所児童に対しては「寮指導」として登校を一時的に制限して本人の課題を振り返る時間をとる場合もある(過去には1か月などの長期もあったが近年はそのようなことはない)。
  • LGBTQ入所者への対応は、現時点では特段そういった配慮はできていないのが現状(具体的な実例の経験がないとのこと)。
  • 外国籍入所者への対応は、現時点では特段そういった配慮はできていないのが現状(具体的な実例の経験がないとのこと)。
  • 権利擁護の取り組みの一環で、苦情解決制度として2カ所の意見箱があり、自由に意見を投書できる。さらに、第三者委員として、外部の者(京都弁護士会の弁護士や元支援学校長)が年間3回来校して直接児童と話し合う機会も設けている。

入所児童の特徴や現況

  • 現在の入所児童は、小学校(男子3名、女子0名)、中学校(男子12名、女子5名)、州学校卒業2名の合計22名。
  • 入所理由は、乱暴・反抗・性的非行・自家金品持ち出し・家出浮浪・窃盗・暴力傷害・放火・そのほか。特に性的非行は近年増加傾向。
  • 入所経路は、京都市内の児相からが最も多く10名、そのほか宇治児相や福知山児相、他府県から。
  • 入所児童の特徴として、①家庭環境の課題(一人親、被虐待)、②発達障害の児童(広汎性、ADHD、知的障害)などがある。こうした児童は、自尊感情が低く、自己統制力が低く、学力が低い(そもそも学校に行けていなかった)、というのも特徴的な傾向といわれている。
  • 性的非行による入所が増加傾向であることも踏まえ、心理士によるプログラム介入も重要な役割を持つようになってきている。

見学の感想

今回参観した児童自立支援施設は、入所する児童にとってはさまざまな制約があるとはいえ、これまで主に参観してきた矯正施設とは異なり、入所する児童が安心できる場・成長できる場となるよう努力しておられる様子が感じられたのが印象的でした。

とりわけ「小舎夫婦制」や地域の後援会である「あすなろ会」、公教育の導入などは、入所児童が家庭的な雰囲気のもとで様々な人(施設職員、地域住民、教師など)からの支援を受けて成長し、人間に対する信頼感や自己肯定感を育んでいく重要な役割を果たしているように感じられました。

報告者:篠原 史生(国内人権ネットワーク会員)

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実施日 2019年1月31日(木)
場所 児童自立支援施設「京都府立淇陽学校」
主催 アムネスティ・インターナショナル日本 国内人権ネットワーク

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