2020年2月19日(水)、茨城県ひたちなか市にある水戸刑務所を9名で参観しました。

まず、会議室で水戸刑務所の概要について説明を受けた後、水戸刑務所内を参観し、会議室に戻っての質疑応答の時間をいただきました。その後、構内展示場で受刑者の製作した品物を見せていただき、買い物をしました。展示場には国内各地の刑務所の製作になる品々も展示・即売されていました。

参観では木工(獅子頭製作)、プラスチック製品検品などの刑務所内の複数の工場、居室、運動場、体育館などを見学しました。

水戸刑務所は、明治4年 旧水戸藩の徒刑場を引き継いで明治13年から茨城県監獄本署と称され、その後水戸に移転、茨城監獄、水戸監獄、水戸刑務所、水戸少年刑務所、水戸刑務所と改称する間に現在地に移転しています。

水戸刑務所では、木工、金属等の生産作業、労務を提供し、社会に貢献していることを実感させる社会貢献作業、炊事、洗濯、営繕、の所内生活の維持運営を支える自営作業、そして、木工、溶接、フォークリフト運転科及びビジネススキル科(パソコン基礎課程)の職業訓練の4種類があります。

水戸刑務所の受刑者定員数は564人であるのに対して、参観日当日(2020年2月19日)の入所者数は362人で、近年収容率は減少傾向にあるとのことです。水戸刑務所の収容対象者は、犯罪傾向の進んだ(B指標)成人男子受刑者で刑期10年未満の人です。満期で出る人が多いが、再犯防止が課題であるとのことでした。

高齢の受刑者には緩やかに単純な作業を提供し、シルバー体操や介護用品の車を使用するなど、柔軟な対応がなされているとの説明を受けました。

食事に関しては管理栄養士が配置されており、主食は米・麦7:3の混合となっています。 給与熱量は作業程度等により3段階に分かれており、1200㎉~1600㎉となっています。医師の処方箋によって熱量を同等にしたアレルギー食対応もされているとのことでした。

居室は単独室を見せていただきました。居室にはテレビがあり、ドアには「毛布、湯たんぽ貸与」等の個別対応の用紙が添付され、暖房のない居室での睡眠の確保に配慮されているようすがうかがわれました。衣類、寝具、座布団等は貸与されるとともに、タオル、石鹸、歯磨き等の日用品が支給されます。下着類、日用品は許可された範囲内で自費購入することもできます。

水戸刑務所では、刑執行開始時の指導・訓練のために約2週間にわたって、心情の安定と改善更生の喚起を図りつつ、受刑の意義、施設内における生活及び行動の在り方並びに処遇内容の理解にかかわる教育が用意されています。

受刑者に犯罪に対する責任を自覚させ、健康な心身を培わせるとともに、社会生活に必要な知識及び生活態度を習得させるために、受刑者の問題に応じた改善指導として、薬物依存離脱指導、暴力団離脱指導、被害者の視点を取り入れた教育、就労支援指導、性犯罪再犯防止指導などを行っているとのことです。

また、水戸刑務所では円滑な社会復帰を目的として、算数・国語などの基礎学力向上のための補修教科指導を必要に応じて行い、また高卒認定試験に毎年数名が合格している実績があります。

必要なことではありますが、受刑者となった人たちが刑務所以前にこうした社会福祉的な教育サービスを受けることができていたらと考えざるを得ません。そういった意味で、刑務所が現在引き受けている問題はあまりにも多岐にわたっていて、大変な事業であると思いました。

水戸刑務所では、受刑者に自発性や自律性を身に付けさせるため、受刑者の資質や環境、所内の行状等を総合的に評価し、改善更生の意欲や社会生活に適応する能力の程度に応じて、刑事施設の規律及び行動に対する制限を順次緩和していく制度として制限の緩和があります。受刑者は第1種から第4種までの制限区分に指定され、制限区分に応じて設備や処遇内容が緩和されます。

また、まじめに受刑生活を送っている受刑者に良い待遇を与え、改善更生に向けたさらなる努力を促すため、原則として6か月という比較的短期間の受刑態度を評価し、第1類から第5類までの優遇区分に応じて、外部交通の回数を増加させたり、自弁使用できる物品の範囲を広げるなどの措置を講じる制度として優遇措置があります。

保健衛生に関しては、運動は健康の保持上必要なものであることから、1日に30分以上、天候の許す限り戸外において実施されています。他受刑者との接触を制限されている人にも運動の機会があり、単独で使用する運動場(個別に金網で仕切られている)も見学させていただきました。

医療については、施設職員である医師が常駐しています。歯科も2か所の医院と提携しており、2週間に1回は受診できる体制が整っています。知的障がい者の施設職員である報告者は、このような体制は受刑者にとってはもちろんですが、施設職員の方々にとっても安心感を持って職務に当たることができる環境であると感じました。ただ、入所時に不健康者が多く、持病があったり、高齢である受刑者も少なくありません。外部受診も可能ですが100%負担です。

受刑者数362名のうち、精神障がいのある人は30名、知的障がいのある人は25名とのことでした。発達障がいのある人は検査・診断をしていないので実態数は不明です。大人の発達障がいは近年知られるようになってきましたが、この脳機能の障がいによる社会生活上の困りごとに対する周囲の無理解から、より一層困難を抱えて意図しない反社会的行動へと誘導される可能性を考えると、そのような観点からの配慮の根拠となる実態把握は今後必要ではないかと思われます。

水戸刑務所は障がい・高齢の受刑者の支援を行う地域生活定着支援センターとの連携があり、過去2年間で連携の対象となった障がい者は2名(連携に賛成)、うち1人は現実に連携して社会復帰を果たしています。高齢者については、連携の対象となった人は10名(9名が連携に賛成)、現実に連携して社会復帰を果たした受刑者は9名とのことでした。

この度、多忙なる職務の時間を割いて参観の申し込みを受け入れてくださり、また、事前にお願いした質問項目に対して丁寧に回答をご用意くださった水戸刑務所のみなさまには深く感謝いたします。ありがとうございました。

報告者:渡邉理絵子(アムネスティ日本 会員)

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実施日 2020年2月19日(水)
場所 水戸刑務所