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イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ - パレスチナ 詳細情報

表現と集会の自由

政治的な内部抗争が続く中、西岸地区とガザの当局は、活動家やジャーナリストを脅し、報道や批判などの言論活動を抑圧した。NGOの「発展と報道の自由のためのパレスチナセンター」によると、西岸地区のパレスチナ当局による報道の自由に対する弾圧が、この1年で107件あった。その中には、恣意的逮捕や尋問中の虐待、物品の没収、暴行、当局に批判的な29のウェブサイトの閉鎖があった。また、ガザのハマス当局による弾圧も25件あった。

1月、ハマスが、深刻な電力不足への対応を誤ったことに対して、ジャバリア難民キャンプで抗議行動があったが、その際、治安部隊は参加者を武力で解散させた。活動家やデモ主催者は拘束され、脅迫や拷問を受けた。活動家のムハンマド・アル=タロウリさんは、抗議行動を組織したとして、この1年で3回、逮捕され、殺害を予告する脅迫も受けた。

西岸地区当局が関わるメディアで働くジャーナリストは、ガザでは自由に取材することができなかった。パレスチナTVの特派員フアド・ジャラデさんは6月6日、ラマッラー(西岸地区当局)に協力したとしてハマスの治安部隊に逮捕され、軍事法廷に出廷した。その後、8月に釈放された。

電子犯罪法が7月に採択された。同法が成立したことで、ジャーナリストや内部告発者、インターネットで当局を批判する人たちは、恣意的に拘禁されるおそれが出てきた。また、公的秩序や社会の平穏、国家の結束を乱したとみなされると、重労働を伴う最大25年の懲役刑を科されることになった。

8月、パレスチナ人ジャーナリスト6人が電子犯罪法で起訴された。6月と7月、同法を公然と批判したとして、少なくともジャーナリスト10人が、予防治安部隊に呼び出され、尋問を受けた。同法の批判などを擁護する中で、人権擁護活動家は、尋問や嫌がらせ、脅迫を受けた。

人権擁護活動家のイッサ・アムロさんは、9月に1週間、勾留され、複数の罪状で起訴された。電子犯罪法やいまだに西岸地区で効力のあるヨルダン刑法が適用された。

拷問その他の虐待

被拘禁者への虐待や拷問は日常的に行われていたが、加害者である西岸地区のパレスチナ警察や治安部隊、ガザのハマス警察や治安部隊が、罪に問われることはなかった。パレスチナの国内人権機関である独立人権委員会(ICHR)は、1月から7月の間に被拘禁者が虐待や拷問を受けたという申し立てを291件受理した。内訳は、西岸地区で138件、ガザで153件だった。

9月、ガザ市内の拘置所とアル=シュジャヤのハマス管理下の拘置所のそれぞれで、被拘禁者1人が亡くなった。その1人は少年(16才)だった。いずれも、亡くなったときの状況が不明だった。ガザの検察は調査を約束したが、2017年末時点で調査の結果は出ていなかった。

電力危機に対するハマスの失策に抗議するデモを率いて勾留された活動家が、少なくとも1人いた。活動家は、取り調べでハマスの国内治安部隊員から拷問を受けたと語った。4日間ほど、プラスチックのパイプで殴られたり、手錠された上で無理な姿勢での座位を強いられたりしたという。虐待を受けた人は、他にもいた。

過剰な力の行使

西岸地区、ガザの両地区で、デモ参加者を解散させるために治安部隊が過剰な実力行使をした。

3月12日、パレスチナの治安部隊は、西岸地区のラマッラー地方裁判所の外での平和的デモを武力で鎮圧した。棍棒で殴られたり、催涙スプレー缶を投げつけられるなどで、少なくとも男性13人と女性8人が負傷し、17人が入院した。負傷者の中にはデモを取材していたジャーナリスト4人もいた。人権擁護活動家で人ICHRベツレヘム事務所長のファリド・アル=アトラシュさんは、「木製の棒で叩かれ、地面に倒れた」と語った。

ハムダラ首相が、事件を調査するために設置した調査委員会は、デモの解散のさせ方が政府規則に違反していたことを突き止めた。委員会は、補償や説明責任の履行などの勧告を行なった。首相は勧告の実施を約束したが、いっこうに行われず、暴行した隊員は誰も裁かれなかった。

女性の権利

女性や少女は、法律上も実生活でも差別を受け、「名誉殺人」(女性の婚前・婚外交渉を家族の恥と見なし、家族の名誉のために女性を殺害する風習)など、ジェンダーに基づく暴力から保護されることはなかった。市民団体によると、女性や少女、少なくとも21人が、名誉殺人で身内に殺害されたようだ。

ヨルダン刑法では、名誉殺人罪で有罪となっても、女性の性に対する既成概念を持ち出すことで減刑が正当化されうる。強かんなどの性暴力の加害者が、その被害者と結婚することで刑罰を免れるとするヨルダン刑法308条は、残ったままだった。

パレスチナが国連女性差別撤廃条約に加入してから3年余りになるが、同条約に沿った国内法の改正は、着手されなかった。ヨルダン身分関係法は、結婚や相続、離婚、後見、財産の権利の面で、女性には差別的なままだった。

経済、社会、文化的権利

ハマス政権がガザの統治を放棄するよう圧力をかけるため、ラマッラーを本拠とするパレスチナ政府は、ガザへの対抗措置を取った。これらの措置により、ガザ住民は、医療、水や電気、教育など重要な公共サービスを受けることができなかった。その結果、住民は、健康や適切な生活水準の維持、教育の権利を侵害された。

5月、西岸地区当局は、ハマスからの支払いが滞っているため、イスラエルがガザに供給する電力の月額費用の7割しか負担できない旨を、イスラエルに通達した。その結果、ガザへの電力供給は、1日あたり従来の8時間から2~4時間に減らされた。

西岸地区当局は、ガザの公務員の給与を3割カットしたため、約6万人の公務員は、適切な生活水準を維持する権利を損なわれ、大規模な抗議デモへと発展した。

国連人道問題調整事務所によると、3月、西岸地区当局は、ガザ外での医療を必要とする人の移動費用の支払いを停止し、約1,400人の患者に対する病院の照会が滞った。複数のNGOによると、この手続きの遅延で、赤ちゃんを含む患者数人が死亡した。国連によると、ガザの病院への医薬品の提供が遅れているため、患者は、長期的に健康被害を受けるおそれがあった。ハマス当局は、粉ミルクが不足しているとして、西岸地区当局を非難した。

死刑

ガザでは、死刑があった。6人が、市民法廷や軍事法廷で「イスラエルへの協力」などの罪で死刑判決を受け、処刑された。

5月、ハマスは、自軍の上級司令官を暗殺したとして3人に死刑を執行した。3人は、わずか1週間、4回の審理で、死刑を宣告された。死刑執行は、ガザ市内の広場で行われた。執行方法は、2人が絞首、1人は銃殺だった。処刑の様子は、ソーシャルメディアでライブ中継された。

西岸地区では、死刑宣告も処刑もなかった。

不処罰

西岸地区でもガザでも、殺害や拷問などの人権に関わる犯罪の加害者が、罪を問われることはなかった。2016年8月にナブルスでパレスチナ治安部隊が、ファレス・ハラワさんとハレド・アル=アグバルさんを明らかに超法規的に処刑した事件があった。この事件は、捜査されることがなかった。同じ月にジネイド刑務所でアーマド・イッザト・ハラワさんが、拷問を受けて亡くなったが、これも誰も罪を問われなかった。

ガザでは、ハマスの正規軍やその軍事部門のイズ・アル=ディン・アル=カッサム旅団が2014年と2016年、超法規的処刑を行っていたが、ハマス当局は隊員を誰も起訴しなかった。

アムネスティ・レポート 2017/2018より

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