国際人権法 - 自由権規約委員会による日本審査:先住民族

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Representatives of the World's Indigenous Peoples Participate in the Launching of International Year, 1993 Ciichi Nomura, President of the Ainu Association of Hokkaido, Japan, addressing the General Assembly.10 December 1992 , United Nations, New York UN Photo/Eskinder Debebe

自由権規約委員会は、1997年に日本が先住民族としてアイヌ民族を承認したことを歓迎する一方で、琉球・沖縄民族を先住民族として認めていないこと、また、アイヌ民族や琉球・沖縄民族の言語をはじめとした文化教育を受ける権利や土地の権利について、日本が未だ認めていないことに懸念を表明し、改善を求めました。

日本にはアイヌ民族、琉球・沖縄民族などの先住民族がおり、長年にわたってその存在と権利を認めるよう求める声が内外からありました。これに対して日本政府は、1997年の「アイヌ文化振興法」制定まで、日本における先住民族の存在を認める立場を取りませんでした。

アイヌ民族を先住民族として認める一方で、琉球・沖縄民族については未だ認めていません(※1)。

先住民族の権利について、自由権規約委員会は、以下の政策を取るよう繰り返し日本政府に勧告しています。

  • アイヌおよび琉球・沖縄のコミュニティにおける伝統的土地と自然資源への権利を全面的な保障(※2)
  • アイヌ民族、琉球・沖縄民族の子どもたちが独自の言語で教育をうけることを、可能な範囲で促進する政策
  • アイヌ民族、琉球・沖縄民族に影響を及ぼす政策などへ自由に事前に、そして情報を得た上で参加できる権利の保障

自由権規約委員会のみならず、人種差別撤廃委員会からも2010年と2014年に、アイヌ民族、琉球・沖縄民族に対する日本の取り組みが不十分で限定的であることが指摘され、是正するよう勧告を受けています。

人種差別撤廃委員会は、日本はアイヌ民族を先住民として承認したにもかかわらず、さらにはユネスコによる独特な民族性、歴史、文化及び伝統の承認にもかかわらず(※3)、琉球・沖縄民族を先住民族として承認せず、有効な文化・言語の保護や差別の解消に消極的な姿勢であると、是正を求めて勧告しています(※4)。

審査に先立ち、自由権規約委員会は日本政府に事前質問(※5)を出しました。質問の中で委員会は、アイヌ民族、琉球・沖縄民族が教育、雇用や公的参加の面において未だ差別を受けている件について情報提供を求めました。それに対して政府は、アイヌ民族以外に先住民族は存在せず、沖縄に住んでいる人びとは日本国民としての権利を持ち、日本国民としての救済処置を受けることができるとコメントしました。アイヌ民族に対しての行政による格差是正の取り組みについても簡単に説明していますが、差別の存在そのものについては特に触れていません。

先住民族の伝統的生活や土地に対する権利の保護・推進については、日本は啓発・文化振興及び施設建設などのみを示し、土地そのものの権利などへの言及は避けています。

先住民族の教育の取り組みについては、日本は文化と信仰の自由が保障されているので何人も自由にそれらを享受出来ると述べるにとどまり、先住民族の教育に対しての特別の救済処置について言及しませんでした。

アムネスティは、2007年に国連で採択された「国連先住民族権利宣言」の内容を遵守し、各国政府が先住民族の人びとと協議しながら適切な政策をとるよう求めています。

44条からなる宣言の中で特に重要なのは自己決定権で、以下が先住民族の人びとの権利として定められています。

  • 同化を強制されない権利
  • 土地や資源の返還や賠償などを求める権利
  • 自治を求める権利
  • 文化的・宗教的な慣習を実践する権利
  • 独自の言語で教育を行い、受ける権利
  • 伝統的につながりを持ってきた土地や資源を利用する権利、など

世界中でこれらの権利が蔑ろにされている事例が多数あります。アムネスティは、各国がこうした先住民族の権利を保障するよう求めています(※6)。

【注釈】

参議院議員糸数慶子君提出先住民族の権利と沖縄の現状に関する質問に対する答弁書)
※2)先住民族がかつて生活していた土地や、利用していた自然資源(動植物など)を、再び彼らが所有や利用を出来るようにし、それを権利として保障すること。
※3)"Gusuku Sites and Related Properties of the Kingdom of Ryukyu"
※4)第7回・第8回・第9回政府報告に関する人種差別撤廃委員会の最終見解
※5)同報告に関する自由権規約委員会の事前質問に対する政府回答
※6)ニュース(2007.08.06)世界の先住民族の国際デー:国連宣言の採択を呼びかける

日本審査:難民へ

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