国際人権法 - 自由権規約委員会による日本審査:難民

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東京入国管理局横浜支局の外観東京入国管理局横浜支局の外観 ©mayumi ono

今回、自由権規約委員会が懸念を表明し、日本政府に対して改善を勧告したのは以下の点です。

  •  長年日本に滞在していたガーナ人男性が強制送還中に死亡した事例が報告されていること
  • 出入国管理及び難民認定法の改定にもかかわらず、難民を彼らの生活や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ強制的に追放したり、帰還させたりしてはならないというルール(ノールマン原則:難民を、迫害が予想されるような地域に追いやってはならないという国際法上の原則)が効果的に実施されていないこと
  •  難民不認定処分に対する停止的効果を持つ独立した不服申し立ての仕組みがないこと
  •  十分な理由を示す事なく、また収容の是非を決定する独立した審査もない中での長期にわたる行政収容があること

日本の難民認定制度  

日本は、1970年代のインドシナ難民の大量流出をきっかけに、難民に対応せざるを得なくなり、法制度を少しずつ整えていきました。1981年に難民条約、1982年に難民議定書に加入し、1982年1月1日から同条約・議定書が日本に対して発効されました。これにより、従来の難民認定手続きに関する規定が改定され、「出入国管理及び難民認定法」(以下「出入国管理法」)という名称に改められるなど、難民認定制度が整えられました。  

「難民」の定義とは

難民とは、難民条約の適用を受ける難民をいうものと難民条約で規定しています。つまり、難民とは、「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由があり、恐怖を有するために国籍国の外にいる者であり、その国籍国の保護を受けることができないか、又はそれを望まないもの」(難民条約1条)とされています。

日本での難民認定手続きの問題点

2015年は7,586人の難民申請に対し、日本が難民として認定したのは27人にとどまっています。  難民として認定する数が非常に少ない背景として、1つは上記に挙げた難民の定義に則り難民を定義しようとした時、例えば紛争を理由に避難してきた難民などは認定が難しいとされています。また一方で、認定されることが多い国とそうでない国とがあり、その公正性が問われてもいます。また、申請者の急増によって対応に時間がかかり、結果を待ち続けている人たちも多くいるのも現状です。申請の手続きも煩雑で、書類を全て揃えて提出すること、また難民それぞれの状況(語学力、PTSDの有無など)により、手続き書類にしっかりと自らの状態を記すことができないことも、認定がされない理由でもあるのです。

日本での難民認定の異議申し立ての問題点

仮に申請ができたとして、難民として認定されなかった場合は、「異議申し立て」をすることができますが、申請に対しては処理する期間が6カ月以内とされているのに対し、異議申し立てについては期間が定められていないため、処理に時間がかかり、その間申請者は社会保障などを受けることができないなどの状況が続いています。また、異議申し立てに対して、2005年より難民参与員という制度が導入され、参与員が申し立てに対し意見を述べますが、その内容に対して法務大臣が認めず、異議が認められないことも起きています。なお、その参与員の選定プロセスも明らかにされていません。

自由権規約委員会が日本に対して求めたこと

  1.  移住者が日本の法律上で滞在を認められず、他国に退去せざるをえなくなった際に、虐待の対象とならないことを保障するための全ての適切な措置をとること。
  2.  他の国に助けを求める全ての人々が、保護を得られるまたは得られないにかかる決定及び迫害を受ける危険のある国家への追放・送還からの保護に対する公平な手続きへのアクセスが与えられることを保障する。また、難民不認定の処分に対して、退去強制の停止効果を持った独立した不服申し立て制度へのアクセスすることを保障すること
  3.  行政収容が最短の適切な期間であり、他の手段が十分に検討された場合のみ収容が行われる事を確保する。また移住者が収容の合法性を決定し得る裁判所に訴訟提起できることを確保すること。

アムネスティの見解

アムネスティは以下のことを求めています。

  1. 難民認定手続きが、国際法と難民条約の基準に合致した、公正かつ効果的で透明性のある方法で行われるよう保障すること。
  2. 移住者と庇護希望者に対する無期限の収容を止めること。
  3. 移住者と庇護希望者の収容は、最終手段であり、当局が、必要で適切かつ法に基づくこと、代替措置に効力がないこと、および逃亡の客観的危険性があることを当局が明確に説明できる場合に限定すること。
  4. 被収容者に対する拘束具の使用は、移送の際に逃亡を防ぐ、自傷行為や他傷行為を予防する、器物損壊を予防するといった場合に限定すること。拘束具の使用は真に必要な場合に限ること。
  5. 効果的な医療及び精神的ケアについて、被収容者である移住者と庇護希望者が、緊急事態を含みアクセスできることを保証すること。
  6. 入国者収容所等視察委員会(※)の独立性、権限、有効性を強化すること。そのために、同委員会に対し十分な資源を提供し、入管収容施設に対する効果的な視察を保障し、施設内の移住者または庇護希望者からの申し立ての受理・審査ができるようにすること。

※入国者収容所等視察委員会   収容者の処遇の透明性の確保や収容施設の運営の改善をはかるために2010年に設立されました。(アムネスティ HPより)  

参考資料

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