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先住民族/少数民族 - 先住民族の土地の権利

慣習的な土地とは

そもそも、先住民族にとって、土地は「登記して所有する」という権利の対象ではありませんでした。そのため、土地の権利証書や利用する土地の境界を示す地図などは作っていませんでした。土地に対しては、聖地信仰などの宗教的観念を持ち、狩猟や採取などその土地を利用することで、土地とのつながりを伝統的に維持してきたのです。このように、ある集団が特定の土地に帰属意識を持ち、その土地を利用することを慣習的利用、そうした土地を慣習地といいます。

ところが侵略や植民地化される過程で、入植者により「土地所有」の法的な概念が持ち込まれ、それまで利用してきた慣習地を利用できなくなったり、立ち退かされたりするようになりました。これは、土地の権利を示す証拠がない、登記していない、あるいは聖地である、不便であるなどのため利用していなかった土地などが「無主地(住民はいるが、有効な土地所有はなされていない)」とされ、国、政府、国王などに所有するとされてしまったためです。

マボ判決

こうした無主地の概念が否定されたのは、オーストラリアにおいてでした。オーストラリアの最高裁判所は1992年、先住民族の慣習的土地利用が、当時の英国の慣習法(コモン・ロー)によっても有効な土地利用だったことを認めました(マボ判決)。マボ判決は、慣習法に基づき、先住民族が土地を利用する権利(先住権)の根拠となる先住権原を認めた画期的な判決です。先住権原とは、「慣習法あるいは慣習にもとづき保持され、オーストラリアのコモン・ローによって承認される土地あるいは水面に対する先住民族の共同体的、集団的あるいは個人的な権利と利益」(先住権原法223条1項(a))です。その翌年(1993年)、先住権原法が制定され、慣習による先住民族の土地の支配が認められるようになりました。

国連宣言の採択

オーストラリア以外にも、先住民族に土地権を認める動きはあります。  2007年9月13日、国連総会において「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択されました。この宣言の第26条は「伝統的に領有もしくは他の方法で占有または使用してきた土地および領土を領有し、開発し、統制し、そして使用する権利を有する」ことを明記しています。

グアテマラでは、先住民族の土地所有を保全する責任は国家にあるとし、伝統的、歴史的に土地を保持してきた先住民族は、その伝統的土地管理の方法を維持することが、憲法で認められています。これに基づき、土地や天然資源の利用について先住民族と調整をはかり、先住民の利用や慣習を尊重するよう求める一般法を制定する運動も起きています。

尊重されない先住民族の土地権

しかし、先住民による土地の管理や利用は認められていないところのほうが多いといえます。例えば、マレーシアのサラワク州、サバ州などでは、先住民族の慣習地が法律で認められているにもかかわらず、実際には尊重されていないため、開発に反対する先住民族が逮捕、襲撃されるといった事件が多発しています。パナマでは、憲法で先住民族コミュニティに必要な土地の留保と集団的土地所有が保障されていますが、警察とその土地の所有権を主張する企業とによって、先住民族が強制的に立ち退かされる事件などが起きています。

憲法や法律で土地に対する先住民族の権利が認められていても、実際にはそうした権利は尊重されないことが多いため、土地を奪われたり、土地の資源を利用できなくなったりする事例はたくさんあります。その結果、都会へ出てスラムなどの劣悪な環境に住み、伝統的工芸品を売ったり、売春をして生活せざるをえない先住民族も多くいると考えられます。

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