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地域紛争 - 紛争を悪化させるイスラエルとガザへの武器供与

イスラエル軍はどんな武器を使っていたのですか?

アムネスティ調査団は、さまざまな武器が使用された形跡をガザ地区内で発見しました。その中には、例えば20ミリ機関砲、対戦車ミサイル、120ミリM830多目的対戦車榴弾、MK82通常爆弾、対戦車地雷、照明弾などがありました。

topic_gaza04.jpg ラファに降り注ぐ白リン弾
(1月11日撮影)

3週間にわたる軍事攻撃中、イスラエル軍はかなり広範囲に、155ミリ白リン煙幕弾(下記Q参照)を含む砲弾を民間人の居住地域に使用し、これらの攻撃によって民間人の死者と負傷者が多数出ています。また、家屋、学校、医療施設、国連施設、救急車など軍事目標でないものがイスラエル軍の大砲による攻撃に直接さらされたこともわかりました。砲弾は、ピンポイント攻撃には適していません。しかし、ガザ地区では民間の人口密集地にむけて発射されたのです。

ガザの民間人や民間施設そのものを標的とするイスラエル軍の攻撃、過度な障害や不必要な苦痛をもたらす兵器・攻撃方法は、国際人道法で禁止されています。

topic_gaza05.jpg白リン弾の砲弾の残骸 (1月24日撮影)

[具体的な事例]

ベイツ・ライアにおける国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の小学校には約1600人の市民が避難していた。2009年1月17日の午前6時ごろ、35人が避難していた教室に砲弾が直撃し、5歳と7歳の子どもが死亡し、14人が負傷した。アムネスティ調査団は校内で、まだくすぶっている白リン弾の残骸を発見した。

白リン弾とはどのような武器なのですか?

ガザのいたるところで白リン弾が使用された証拠があります。アムネスティ調査団は、M825 Alと刻印された米国製の155ミリ白リン煙幕弾を各地で発見しました。

topic_gaza06.jpgUNRWAの現地事務所。 イスラエルによる白リン弾の攻撃を受け、貯蔵してあった食糧、医薬品など人道支援物資が焼失した(1月19日撮影)

155ミリの砲弾は炸裂すると白リンが染み込んだ116個のくさびをまき散らします。白リンは酸素と結合して発火し、破裂しますが、その時の高度や風の状態によって、サッカー場くらいの広さには広がります。人間の皮ふにつくと、白リンは筋肉の下にある骨まで浸透し、酸素がある限り燃え続けます。調査団は、家屋や建物の内外で白リン弾のくさびとそれが入っていた砲弾の薬きょうを発見しました。複数の白リン弾が1月15日、ガザのUNRWA現地本部に落とされ、医薬品や食料などの人道支援物資を焼失させたことがわかりました。

アムネスティ調査団は、イスラエル軍が、ガザ市内とその近郊、またガザ地区の南部と東部の住宅密集地域で白リン弾を使用した証拠を発見しました。一般市民が多い人口密集地域で繰り返し白リン弾を使用することは、無差別攻撃の一つであり、戦争犯罪に相当するとアムネスティは考えます。

[具体的な事例]

ガザ北部の難民キャンプに住む16歳の少女サミア・サルマンは、1月10日、就寝中に白リン弾による攻撃を受けた。10日後、サミアは「火傷を負った顔と足に、いまだに激痛がある」とアムネスティ調査団に語っている。

フレシェット弾とはどんなものですか?

topic_gaza07.jpgフラシェットを搭載した砲弾の一部

フレシェットは、先端が鋭くとがって後部に4つのフィンがついた4センチの金属製の矢である。5000~8000本の矢が、一般に戦車から発射される120ミリ砲弾に充てんされています。砲弾は空中で炸裂し、炸裂地点から縦300メートル、横100メートルの円すい状に矢を散布します。

フレシェット弾の使用は国際人道法で禁止されてはいません。しかし、フレシェット弾をガザのような人口密集地で使用すれば、市民を不法に殺害し負傷させることになります。アムネスティ調査団はガザにおいて、フレシェット弾が原因で死亡したり負傷したりした市民を複数確認しています。

topic_gaza08.jpg無人機(ドローン)から発射されたミサイルを被弾した救急車(1月4日撮影撮影)

[具体的な事例]

1月4日、ミサイル攻撃を受けた現場に向かっていた救急車は、戦車によるフレシェット弾の砲撃を受けた。救急隊員は重傷を負い、そのうちの一人は後日死亡した。

1月5日、イスラエル軍はベイトハヌーンの南西にあるアブドゥ・アルダエムの自宅近くでフレシェット弾数発を発射した。子ども一人と女性一人が即死した。16歳のアルダエムは首にフレシェットがあたり、病院に搬送されたが3日後に死亡した。

アムネスティは、以前にもフレシェット弾がガザ地区内で使用され、複数の子どもが殺傷された事件を記録しています。民間人の人口密集地域でフレシェットを大量に搭載した砲弾を発射する行為は、無差別攻撃を禁止する国際法に違反しています。

立方体榴散弾とはどんなものですか?

無人機(「ドローン(雄バチ)」と呼ばれる)から発射される新型のミサイルで、炸裂して2~4ミリ角の金属製の立方体を大量にまき散らします。とがった形に作られたこの立方体は、金属製のドアや鋼鉄製の鉄塔を突き抜け、コンクリートの壁にも深く食い込みます。

このミサイルによって多数の市民が死亡したことが確認されています。また、負傷した男性のレントゲン写真を見ると、太ももに立方体の弾丸が複数残っていることがわかります。

高密度不活性金属爆薬(DIME)は使用されていたのですか?

ガザでイスラエル軍が高密度不活性金属爆薬(DIME)を使用したという報道が複数あります。武器の専門家を含むアムネスティ調査団は、DIME使用に関する確かな証拠を得られませんでした。しかし、軍事攻撃による負傷者の治療にあたった医師は、手足が鋭い刃物かなにかで切断されたかのようになる、ほとんど出血しない、ひどい火傷を負う、軽傷に見えていたのに突然悪化したり死亡するなど、DIMEによる負傷と似た患者の事例について説明しています。

DIMEはタングステンなどの重金属粉末と爆薬が詰められているもので、爆発地点付近における爆発時の衝撃と致死性は高いですが、爆発地点での威力は低下します。DIMEの使用も国際法によって禁止されてはいません。しかし、比較的新しい兵器であるため、長期にわたる影響について調査を進める必要があります。複数の科学者は、ラットによる研究で、タングステンが詰められた爆弾によってガンが誘発される疑いがあると指摘しています。しかし、人体で同じ程度のガン誘発率があるかについては、さらに研究する必要があります。

ハマスおよびその他のパレスチナ武装勢力によるロケット弾攻撃どんなものだったの?

ハマスおよびその他のパレスチナ武装勢力は、イスラエル南部に向けてロケット弾を発射しています。これらのロケット弾のほとんどは何もない地域に落ちましたが、何人かのイスラエル市民がロケット弾によって死亡しています。2008年にはロケット弾によって7人が死亡しました。

パレスチナ武装勢力によるロケット弾は、とりわけ遠く離れた目標を正確に狙うことができません。ロケット弾には、「グラッド」や手製で短距離用の「カッサム」などがあります。民間人が居住する地域に向けて無差別にロケット弾を発射する行為は、戦争犯罪です。

誰がイスラエルに武器を売っているのですか?

米国は、政府間および民間取引を含めてイスラエルへの主要な武器供給国です。米国が国連に提出した報告書によると、2004~2007年までで、「武器および弾薬」の商取引は13億1300万米ドルにのぼり、2007年度だけで4億4700万米ドルになります。イスラエルは武器取引について、国連に報告していません。

2002年以降のブッシュ政権下、米国はイスラエルに対し、210億米ドルの軍事・治安対策支援を行なっています。また2007年8月16日、米国とイスラエルは、総額300億米ドルの軍事支援を含む10年間の協定に署名しました。協定の詳細については非公開のままです。

米国以外の主な武器供与国は、フランス、ドイツ、英国です。米国と比較してはるかに少ないとはいえ、それでも相当な量になります。その他にも、オーストリア、オーストラリア、ベルギー、チェコ、フィンランド、ハンガリー、イタリア、ポーランドなどが武器をイスラエルに移転しています。

イスラエルによる今回のガザ攻撃に対して国内で批判が高まり、欧州連合加盟国のうちスウェーデンなど9カ国が、イスラエルにいかなる武器移転もしないと発表し、またイタリアと英国は通常兵器の輸出を制限するとしました。しかし、武器の部品の輸出や中継貿易に規制はかかっていません。

ハマスおよびその他のパレスチナ武装勢力への武器移転は?

ハマスおよびその他のパレスチナ武装勢力は、小型武器や軽兵器、ロケットなどをエジプトからガザへ密輸しています。「カチューシャ」ロケットはロシア製ですが、パレスチナ武装勢力によって使用されているものが直接ロシアから輸入された可能性は低いといえます。武器の輸入や所有は、イスラエルにくらべて小規模なものです。

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