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取調べの可視化 - 可視化に関するQ&A

次に、取調べの可視化に関する基礎的な事項を、Q&A形式で解説していきます。

Q 取調べの可視化は、すでに導入されているんじゃないですか?

違います。今行われているのは、取調べの一部の録画で、「可視化」とは言えません。

現在、取り調べの一部録画が行われているのは、裁判員裁判対象事件についてです。東京地方検察庁では2006年8月から、その他地方検察庁では2008年4月から、取り調べの一部を録画しています。また、警察庁も2008年4月に、一部の事件の取調べを、部分的に録画することを発表しました。

検察庁は2008年末までに、全国で約1500の事件の一部録画を行いました。しかし、検察官が「相当と認める」部分だけを録画しており、取調べで被疑者が自白に至った経緯は録画されていないのです。

Q なぜ、一部の録画では不十分なのですか?

被疑者の供述を記録した調書を検察官が作成した後、調書の内容を読み上げている段階などの一部が録画されても、自白に至った過程がまったくわかりません。

そうなると、録画されていない部分で自白が強要されている可能性もあります。つまり、捜査機関の都合のよい部分だけが録画されてしまうことが、考えられるのです。

それに一部の録画では、裁判官や裁判員が、「自白は強要されたものではない」と誤って判断してしまう恐れもあり、さらなる冤罪の危険を生む可能性もあります。

全過程が録画されてはじめて、威圧的、あるいは暴力的な取り調べが予防され、また自白が強要されたものかどうかについて、公正な検証が可能になるのです。

Q すべての事件の取調べの全過程を録画するのは、現実的に不可能ではないですか?

いいえ。不可能ではありません。

捜査側の負担がかかるから、不可能だという意見があります。しかし、全過程の録画を、いっせいに導入するのではなく、段階的に実現すれば、決して不可能ではないのです。

まずは裁判員裁判の対象となる重大事件、少年・知的障害者・外国人の事件、被疑者や弁護人が録画を求めた事件など、とくに録画される必要性が高いものから全過程の録画をすすめていけば、捜査機関にとって大きな負担とならないはずです。

Q 被疑者の取調べだけを、録画するのですか?

被疑者のみならず、参考人の取調べも全過程の録画が必要であると、私たちは考えています。共犯者の自白が有力な証拠として認定されることで、冤罪が生み出されることがあるからです。

たとえば、郵便料金割引制度に関連する事件で逮捕された村木厚子元厚生労働省局長の事例です。村木元局長は、一貫して無罪を訴え続けましたが、検察は元部下の供述調書をもとに、村木元局長らを起訴しました。

しかし、裁判の中で、検察官が元部下らを強引に取り調べ、検察があらかじめ描いたストーリーに沿って、虚偽の供述調書が作られたことが明らかになりました。

こうした形の冤罪を根絶するためにも、参考人の取調べに関しても、全過程の録画が必要です。

Q 全過程の録画を行うと、被疑者が供述をためらったり、取調官が委縮したりして、真相の解明ができなくなりませんか?

そんなことはありません。

取調べの録画をすでに実施している海外の事例において、取調べがいったん始まると、被疑者は録画されていることをすぐに気にしなくなり、取調べの妨げにはならない、という報告があります。

また捜査機関は、取調官と被疑者の間に築かれる信頼関係こそが、真実を明らかにするために重要である、と主張しています。

しかし、「録画されていたら真実を話さない」、「密室だから真実を話す」というのは、捜査機関が言っている一方的な言い分であり、それが本当かどうかは確かめようがありません。実際には、取り調べる側と取調べを受ける側の力関係は対等でなく、密室の中においては、無実の人が権力に屈服してしまいやすいことが心、理学者によって報告されています。

また、多くの冤罪事件で、密室で虚偽がつくられていった事実も明らかになっているのです。

 

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