LGBTフリーゾーンの街!? 「ようこそ」ではなく「排除」の印 
不寛容が広がるポーランドの未来は・・・

更新:2020.10.7

LGBTフリーゾーンの街!? 「ようこそ」ではなく「排除」の印 不寛容が広がるポーランドの未来は・・・© Barbora Cernusakova/AI

2020年6月、ポーランドの与党「法と正義(PiS)」の候補として再選を狙っていたドゥダ大統領は、選挙中の演説で「LGBTは共産主義よりも危険なイデオロギーである」と発言し、同性婚および同性カップルの養子受け入れの禁止と、「キリスト教に基づく伝統的な家族観を守るため」として、教育機関でLGBTについて教えることを禁止する法案を実現すると宣言しました。

LGBT差別を政治的なプロパガンダとして利用し、同性婚に反対する国民からの票を取りつけたドゥタ大統領は、8月の大統領選で対立候補との僅かな票差で再選を果たしました。

再選直後、LGBTの権利に不寛容な姿勢をとる政府に抗議し、1人のLGBT活動家がワルシャワ市内の銅像にレインボー フラッグを掛けました。しかし、すぐさま逮捕されてしまいます。逮捕に抗議するために行われたデモでは、参加者に対する警察の暴力行為が多発し、48人もが逮捕される事態に発展。ポーランド国内でのLGBT当事者や支援団体、活動家に対する警察の弾圧行為の強まりを世界に知らしめる出来事となりました。

LGBTフリーゾーンの街!? 「ようこそ」ではなく「排除」の印 不寛容が広がるポーランドの未来は・・・© Grzegorz Żukowski

「LGBTフリーゾーン」

ポーランド南部で「LGBTフリーゾーン」を宣言する自治体が増え、LGBT差別が地方でも広がっています。「LGBTフリーゾーン」とは、「この街にLGBTはいません」という意味。

自治体によってLGBTという特定の人たちを排除することが宣言され、多様性が否定され、差別や偏見が助長されているのです。「LGBTフリーゾーン」を宣言した自治体の人口をあわせると、ポーランド全人口の3分の1になることから、LGBTに対する弾圧が増している現状を見てとることができます。

LGBTへ希望を示す連帯の声

ポーランドに暮らすLGBTの人たちは、自らの権利を求めて差別に立ち向かうのか、それとも声を押し殺して生きていくのか、選択を迫られています。憂慮すべき状況が続くポーランドですが、明るいニュースもあります。LGBTの人たちの支えになろうと、国内外ではさまざまな連帯の動きがあるのです。

LGBTフリーゾーンの街!? 「ようこそ」ではなく「排除」の印 不寛容が広がるポーランドの未来は・・・© Reuters

ドゥダ大統領の就任式で、複数の下院議員たちがそれぞれの衣服でレインボーを表現し、就任式の出席者席をレインボーカラーに染めました。LGBTに差別的なドゥダ大統領の政策に対する批判と、LGBTの人たちへの連帯の意を表明したのです。このパフォーマンスはSNSを中心に瞬く間に拡散され、ポーランドのLGBTの人たちからは「勇気づけられた」「ポーランドでも希望を持ち続ける理由ができた」との声がSNS上で寄せられました。

国外からもポーランドのLGBTの人たちへの連帯が行動で示されています。例えば、欧州連合(EU)は、「自由、民主主義、人権の尊重」を理念とするEUの価値に相容れないとして、「LGBTフリーゾーン」を宣言した6つの自治体への経済支援を拒否することを決定しています。また、2020年9月、日本を含む50カ国の大使がポーランド政府に対する公開書簡で、LGBT差別の終息と人権の尊重を訴えかけました。

LGBTフリーゾーンの街!? 「ようこそ」ではなく「排除」の印 不寛容が広がるポーランドの未来は・・・© Grzegorz Żukowski

「LGBTはポーランドの伝統や価値観を壊す」という偏見と闘っていくために、国内外からLGBTへの連帯の意思を表明し続けなければなりません。