国内外の動き~LGBTの人たちを取り巻く現状~

「差別の禁止」と「平等」は、国際人権基準の基本原則です。

しかし、LGBTの人たちが、性別のとらえ方、好きになる人の性別を理由に、差別をされたり、

嫌がらせやいじめを受けるといった事例が今もたくさん起きています。

国際的な動向

根深い社会の偏見や嫌悪に加えて、法律で彼らを差別する国もあります。

国際レズビアン・ゲイ協会によると、同性愛を犯罪とする73カ国で、LGBTの人たちやそう思われる人が不当に逮捕されたり、投獄されることを恐れながら暮らしています。うち、13カ国では、死刑に処せられる可能性があります。

国連はこうした権利侵害に対して、繰り返し懸念を表明し続けています。

2011年には歴史上はじめてLGBTの人権に関する国連決議が採択され、日本も賛成に回りました。2014年には、開催国ロシアで、LGBTの人たちを危険にさらす「反同性愛プロパガンダ法」ができたことから、オリンピック憲章に性的指向による差別禁止が明記されるなど、権利保護に向けた国際的な動きが進んでいます。

性的指向に関連する世界の法律2019
出典:International Lesbian, Gay, Bisexual, Trans and Intersex Association(ILGA)/一部翻訳:アムネスティ・インターナショナル日本

日本国内の動向

一人ひとり、置かれている状況は異なりますが、日本でも、LGBTの人たちはさまざまな困難に直面しています。学校や職場、病院、福祉施設、被災地で差別的な言動を受けたり、制度不備や担当者の偏見に対する不安から民間や公共サービスを受けることができずにいる人。家族や友人、身近な人に理解されず、社会から孤立し、自傷行為に追いやられる人も決して少なくありません。

2019年5月29日、企業にパワハラへの対策を法的にはじめて義務付けた、パワハラ関連法(労働施策総合推進法の改正案)が可決されました。この法律の国会付帯決議では、パワハラに関連して、性的指向や性自認を理由とした差別もなくすよう、企業に求めています。

例えば、「ホモっぽくて気持ち悪い」といった差別的な言動や嘲笑、いじめや暴力などのハラスメントを企業は予防しなければなりません。また、「〇〇さんってレズビアンなんだよ」というように、本人の性的指向や性自認を、本人の同意なしに第三者に暴露してしまう「アウティング」も、同様に予防しなければなりません。これは、職場での差別をなくしていくための大きな一歩です。

しかし、依然として日本には、性的指向や性自認を理由とした差別を禁止し、LGBTの人たちをあらゆる差別から守る法律がありません。こうした状況を改善する法律をつくるため、2016年から超党派による議員連盟が活動していますが、法案はいまだ調整中にとどまっています。2020年のオリンピック・パラリンピック開催国として、この問題に取り組むことは急務です。

一方で彼らを支援しようとする前向きな動きが自治体レベルで広まっています。条例や行動計画に性的指向、性自認による差別禁止を盛り込む、同性カップルのパートナーシップを認めるなど、国に先行してこの問題に取り組む市区町村が増えてきています。住民が結集し、声を上げ続けたことが、こうした動きをもたらしています。

条例/要領でパートナーシップ制度が認められている自治体がある都道府県

「性的指向/性自認に関する課題解決に向けた施策が明記された条例」で使用されている言葉

社会へのメッセージ

「LGBTであることは、別に何もおかしいことではない。互いに祝福し合える。そんな社会になってほしい」---青森県弘前市でパートナーと暮らしているトランスジェンダーの男性。

「多種多様な家族があって、あらゆる家族が違和感を感じることなく、『そこにいる』ことができる社会になってほしい」---東京都内で、一人息子を育てながら、生活を送っているレズビアンのカップル。

「将来、自分がどんなふうに年をとっていくのか。想像することができない。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルの人、誰もが将来をイメージできるような社会になってほしい」---東京都内で、働いているゲイ男性。

LGBTの人たちが直面する、家族や友人、同僚、周りの人周囲の無理解、社会の偏見や抱える不安。社会へのメッセージ、願いを聞いてください。