中国政府は、香港における表現の自由に対する弾圧をますます強化しています。
香港の法廷弁護士である鄒幸彤(Tonyee Chow Hang-tungトニー・チョウ)さんは、1989年の天安門事件における犠牲者を平和的な形で追悼しようとしただけで、2021年6月4日に逮捕され、禁錮刑を言い渡されました。さらに今後、香港国家安全維持法(国安法)に基づく「破壊扇動」の容疑で、最高で禁錮10年の刑に処される可能性があります。
中国政府は、人びとが天安門事件を忘れることを目論んでいますが、私たちは天安門事件の犠牲者を記憶に刻み続ける必要があります。歴史を消し去ることはできません。
鄒幸彤さんをはじめ、天安門事件の犠牲者を平和的に追悼しようとして逮捕・拘禁されているすべての人びとを直ちに釈放するよう、香港当局に要請してください。
期 間: | この署名は終了しました。(2022年5月31日~2023年2月6日) |
要請先: | 香港法務長官 |
1989年6月4日、北京の天安門広場とその周辺で、平和的に民主化を訴えていた人たちが中国軍によって殺されました。犠牲者の数は、数百人とも数千人とも言われます。中国全土で数万人が逮捕されたと推測されていますが、中国当局が真相解明を拒み続けているため、詳細はわかっていません。それ以来33年間、中国本土では、公然と追悼行事を行うことは禁止されてきました。
香港では毎年6月に天安門事件追悼集会が行われてきました。しかし、2021年6月4日にヴィクトリア公園で予定されていた追悼集会は、新型コロナウイルス感染症を口実に禁止されました。鄒さんは、市民一人ひとりが天安門事件を追悼しようとソーシャルメディアで呼びかけたために逮捕されたのです。
2021年12月、鄒さんは無許可の集会に参加したとして、12カ月の禁錮刑を言い渡されました。さらに2022年1月、ソーシャルメディアで天安門事件の犠牲者を追悼するよう呼びかけたことを理由に「無許可の集会に参加するよう人びとを扇動した」罪で2度目の有罪判決を受け、15カ月の禁錮刑を言い渡されました。
鄒幸彤さんは、弁護士になる以前から人権活動家として精力的に中国本土の人権問題に取り組んでいました。また、香港の法廷弁護士として、国安法の対象となった政治活動家の弁護に取り組み、天安門事件の追悼行事を主催する団体(香港市民支援愛国民主運動連合会)の副主席も務めていました。
国安法は、2020年6月30日、中国の全国人民代表大会常務委員会において可決され、議論がないまま即日施行されました。同法は、あいまいな「国家の安全」の定義によって、表現の自由、平和的集会、結社の自由などの人権を制限し、政府に対する反対意見を抑え込み、民主活動家を弾圧するために恣意的に利用されています。同法が成立して以来、数多くの民主活動家や人権活動家、ジャーナリストなどが逮捕・起訴され、有罪判決を受けています。