新型コロナウイルスは、前例のない危機を世界にもたらしています。多くの人が病気になり、家族や愛する人を失った人も少なくありません。さまざまな制限により、経済や日常生活への影響も甚大です。この困難な時期に、日本でも医療や介護に従事する人たちは、自身や家族が感染するリスクがある中で、新型コロナウイルス危機の最前線で闘っています。
しかし、医療や介護の現場では、感染リスクを低減する手段である、フェイスマスク、ガウン、ゴーグル、手袋、消毒スプレーなどの個人用防護具や衛生用品が不足しており、医療・介護従事者は感染の危険にさらされています。また、医療・介護従事者を対象とした PCR検査(新型コロナウイルス感染症の診断検査)は十分に実施されておらず、感染拡大のリスクが払しょくしきれていません。
さらに、このように医療・介護の現場における感染対策が不十分なままでは、社会的不安が助長され、例えば、看護師が子どもの保育園から預かりを拒否されるなど、医療・介護従事者とその家族に対する差別や偏見が繰り返されてしまいます。
危険な職場環境での労働や、差別や偏見といった人権侵害から、医療・介護を支える人たちを守るのは国家の義務です。新型コロナ危機の最前線で闘う医療・介護従事者の人権を保護するよう、日本政府に対して要請してください!
医療・介護従事者は、その仕事ゆえに、新型コロナウイルスにさらされる機会が一般市民よりも多く、適切に保護されなければ、感染、深刻な病気、さらには死亡のリスクが高くなります。国際看護師協議会によると、世界中で23万人以上の医療従事者が新型コロナウイルスに感染しています。また、アムネスティ・インターナショナルは、7,000人の医療・介護従事者の死亡を報告しています(2020年9月5日時点)。
アムネスティ・インターナショナルが情報を収集した63カ国と地域のほぼすべてで個人用防護具の不足が報告されており、2020年5月に62カ国で発表された国際公務労連の調査によると、適切な防護具を持っていると報告した労働組合員は、4分の1にも届きませんでした。
残念ながら、日本も例外ではありません。日本医療労働組合連合会(医労連)が9月1日に発表した調査報告によると、多くの医療従事者が防護具の不足を報告しています。個人用防護具が十分に提供されていなかったため、医療・介護従事者が自分で調達する必要があった例も報告されました。防護具が不足しているため、質の低い代替品を使用したり、本来は使い捨てが基本のものを繰り返し使用したりせざるを得ず、感染対策が充分にできない状態が続いています。
日々、高い感染リスクにさらされる中、医療・介護従事者の人たちは、自分が新型コロナウイルスに感染してしまっているのではないかと不安に思いながらも、PCR検査もままならいために確認できずにいます。医療・介護現場からの感染拡大の懸念は払しょくされず、家族にも感染させることを恐れて、自宅に帰らずにホテルやウイークリーマンションなどに泊まる医療・介護従事者もいます。家族から「家に帰ってこないでほしい」と言われた人もいます。
期 間: | この署名は終了しました。(2020年9月15日~10月末日) |
要請先: | 内閣総理大臣、厚生労働大臣 |
※署名(名前のみ)はアムネスティ日本で取りまとめ、要請先に提出します。
※後日、メール、お電話にてアムネスティ日本から活動紹介のご連絡を差し上げる場合がございます。