2023年10月、死刑が確定していた袴田巖さんに対するやり直し裁判(再審)が始まり、翌年10月、袴田さんの無罪が確定しました。1980年の死刑確定から実に44年の月日が経って、ようやく手にした正義です。死刑判決が確定してから再審で無罪となった人は、袴田さん含めこれまでに5人。いずれも何十年という気の遠くなるような長い時間がかかっています。
再審は間違って有罪になってしまった人を無罪にするためのものです。しかし「開かずの扉」と言われるほどハードルが高いのが実情です。裁判をやり直す手続きのための法律が不十分のため、えん罪被害者の救済としてきちんと機能していないのです。法律を全面的に見直し、ルールを整えることが必要です。
法改正を求める声の高まりを受け、法務省内で改正に向けた検討が進められ、この2月に骨子(要綱)がまとまりました。これをもとにした改正法案が、今国会で提出される見込みです。しかしその内容は、えん罪被害の救済が後退しかねないものだと懸念されています。
法務大臣に、今後作成する改正法案が、えん罪被害者の救済という目的に真に沿ったものとなるよう、要請してください。「えん罪」は、国家による大きな人権侵害です。無実の人が処罰されることは、絶対にあってはなりません。
| 期 間: | 2026年3月5日~6月末日(予定) |
| 要請先: | 平口洋 法務大臣 |
※あなたの署名(名前のみ)は、アムネスティ日本で集約し、法務大臣に提出します。
アムネスティは、えん罪被害救済のためには、再審請求手続きにおける証拠開示の法制化、再審開始決定に対する検察の不服申し立て禁止が不可欠だと考えます。
ところが法務省の要綱では、証拠開示を義務化しているものの、その内容は裁判所の裁量に委ねるというものです。これは、無罪につながる証拠をも埋もれさせてしまうおそれがあります。また、検察の不服申し立ての権限も維持しています。
再審はえん罪救済の最後の砦であるにもかかわらず、重要証拠が十分に開示されず、さらに不服申し立てによって手続が長期化すれば、迅速かつ実効的な救済は保障されません。袴田さんが再審開始決定を受けてから実際に再審が実現するまで9年もかかりました。検察官が不服申し立てをしたためです。
こうした点を考えると、法務省の要綱は救済の視点に欠けたものだと言わざるをえません。また、世界人権宣言第10条(公正な裁判を受ける権利)および第8条(効果的救済を受ける権利)、さらに市民的及び政治的権利に関する国際規約第14条(公正な裁判と防御権の保障)にも抵触するおそれがあります。



